シナリオ
あなたはグローバルSaaS企業「Flowly」のバックエンドエンジニア。Sprint 27 の初日(月曜日)、PM の Rachel から Slack メッセージが来た。「フィルター機能の Sprint 27 リリースに合わせて、CSV エクスポート機能(8pt)も同時リリースしたい」という追加要求だ。
あなたはすでに Sprint 27 にフィルター機能(5pt)、コードリファクタリング(3pt)の合計 8pt を積んでいる。チームのベロシティは平均 10pt。CSV エクスポートを追加すると合計 16pt となり、明らかにオーバーキャパシティだ。
Rachel は営業から強い要望を受けており、早急に回答を求めている。ただし彼女は技術的な詳細には詳しくなく、「少し追加するだけでしょ?」と思っている可能性がある。
文化的コンテキスト
英語のビジネス交渉では直接的な "No" より "What if we...?" / "Instead, could we...?" の形で代替案を提示するのが基本
"8pts / ~10pts / 16pts" のように数値で制約を示すと感情論でなく客観的な事実として受け取られる
代替案を「Rachel のゴール(Sales に回答する)」を解決する形で提示すると Win-Win が成立しやすい
"Sprint 28 の day 3" のように具体的な期日を示すと、代替案の実現可能性を伝えられる
タスク
Rachel からの以下の Slack メッセージに対して、交渉のスレッド返信を書いてください。2〜4文程度で以下を含めること:
- リクエストへの感謝・理解(1文)
- 技術的な制約をデータで簡潔に説明(1〜2文)
- Win-Win な代替案の提案(1文)
- 60〜100語のSlack返信(インフォーマルなトーンでOK)
- 感謝・共感 → 数値による制約説明 → 代替案の3段構成
- 直接的な "No" / "It's impossible" は使わない
- 代替案には具体的なスプリント・日程を含める
使える表現・フレーズ
カードをクリックすると英語フレーズを表示します。
ヒント
ヒント1 — 構成・方向性
「感謝・共感 → データで制約説明 → 代替案」の3段構成。技術的詳細に深入りせず、数字(pt数・ベロシティ)だけで制約を示す。代替案は「いつ届けられるか」を明確にして Rachel のゴールを解決する形で締める。
ヒント2 — キーフレーズ・表現
- 感謝:
"I totally understand the ask and love that sales is excited about it." - 制約:
"We're currently at 8pts for Sprint 27, and our velocity is ~10pts — adding CSV export (8pts) would push us to 16pts." - 否定を柔らかく:
"which isn't realistic without dropping something else" - 代替案:
"What if we fast-track CSV export as the top priority in Sprint 28 and aim to ship it by day 3?"
ヒント3 — 骨格(ほぼ答えに近いアウトライン)
Hey Rachel! [共感・感謝 1文] That said, [現在のpt数 + ベロシティ] — [CSV追加時のpt数 → 制約 1〜2文]. [What if... + Sprint 28 の具体的な日程で代替案] — that way [Rachel のゴールを解決する 1文].
モデル解答(B2〜C1相当)
解説
構成分析
"it makes sense to ship them together" で Rachel のビジネス目的に共感を示す。頭ごなしに否定しないことで交渉の余地が生まれる
"8pts" "~10pts" "16pts" の3つの数字を使って、追加不可能な理由を客観的に示す。感情論でなく事実として受け取られる
"What if..." フレームで提案しつつ "day 3 of the sprint" という具体的な納期を提示することで実現可能性を示す
"sales has a firm date they can communicate to customers" で Rachel の課題(営業への回答)を解決する形で締める。Win-Win の完成
重要表現
| 表現 | 意味・ポイント |
|---|---|
I totally understand the ask | カジュアルだが共感度が高い交渉の出だし。"I understand" よりも感情的な距離が縮まる |
it makes sense to... | 相手の論理を認める表現。議論を柔らかくし交渉の余地を生む |
we're already at 8pts | 制約を「私が断る」でなく「状況の事実」として提示。人間関係を保ちながら限界を示す |
isn't realistic without dropping something else | 「不可能」ではなく「何かを削れば可能」と示す。オープンな姿勢で相手に選択肢を渡す |
What if we...? | 提案を疑問形にすることで押し付けがましくならない。交渉の定番フレーム |
target delivery by day 3 | 具体的な日程で信頼感を出す。"sometime next sprint" より明確 |
a firm date they can communicate | 相手(Rachel)のゴールを代弁することで Win-Win が成立 |
文化的ポイント
日本語では「今スプリントは難しいです。申し訳ありません」という謝罪から入りがちだが、英語のビジネス交渉では:
"I'm sorry but..." で終わるより "What if we...?" で代替案を提示する方が高評価。謝罪は弱さのシグナルになりうる
技術的な制約をポイント数で示すことで、感情的な交渉を事実ベースに変換できる。PMにとっても分かりやすい
"Sales is asking too much" や "That's a PM problem" のような発言は関係を損なう。制約は「チームのキャパシティ」として示す
よくある日本人のミス
| ミス | 原因 | 正しい表現 |
|---|---|---|
| "I'm sorry but it's impossible." | 謝罪+断言で交渉の余地がない | "That would push us to 16pts, which isn't realistic this sprint." |
| "We cannot do it because it takes long time." | 曖昧で説得力がない | "CSV export is roughly 8pts, and our velocity is ~10pts." |
| "Let's do it next time." | 「次回」が不明確 | "Let's make it the top priority in Sprint 28 and ship by day 3." |
| "I think it is difficult." | "I think" + 形容詞で曖昧な否定 | "Adding this would put us at 16pts, which isn't realistic." |
| "Please wait." | 受け身で何もしていない印象 | "What if we fast-track it as the top priority next sprint?" |
ワンランク上の表現
より洗練された制約の示し方
"Taking on CSV export mid-sprint would mean either slipping the filter feature — which we already committed to — or burning out the team. Neither is a good outcome."
ポイント: 抽象的に「無理」と言わず、「具体的に何が起こるか」をシナリオで示す。"burning out the team" はカジュアルで共感を呼ぶ表現。"which we already committed to" で既存コミットメントを強調できる。
より洗練された代替案の提示
"I'd rather give you a solid ETA — Sprint 28, day 3 — than rush it and ship something buggy. What do you think?"
ポイント: "I'd rather...than..." で優先順位の論理を示す。"What do you think?" で相手に判断を委ねることで押し付け感をなくす。"ETA" (Estimated Time of Arrival) はエンジニアとPMの共通語彙。
エスカレーション込みの提案
"Happy to sync with you and David to reprioritize if CSV export truly can't wait — just want to make sure we're aligned on the trade-offs."
ポイント: 上司(David)を巻き込む提案で、自分だけの判断でないことを示す。"trade-offs" という語彙はエンジニアとして信頼感を与える。"Happy to sync" は積極的な姿勢を示しつつもカジュアル。
次のステップ
Rachel が「Sprint 28 では遅すぎる。何か削れない?」と押し返してきた場合、どのコンポーネント(リファクタリング3pt)を削るかを提案する交渉を練習してみましょう
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