2026-09-23 — Thinking-A(問題解決・意思決定)

2026-09-23 Thinking-A Opportunity Solution Treeで要望を機会に翻訳・EVPI/EVSIで「調べる価値」を金額化・Value-Focused Thinkingで目的から選択肢を作る

今日のフォーカス

目の前に出された「リスト」(要望・調査案・選択肢)をそのまま比べ始める前に、一段上の問い(成果・判断が変わるか・根本目的)へ上がる規律を鍛える。

経費精算SaaSのPMが14件の要望を成果と機会の木に並べ直す(Q1)。配車SaaSの事業責任者が「パイロットしてから」に対して情報の価値を計算し、この設計では約272万円の損になると示す(Q2)。地方の医療法人のCIOが、A・B・Cの言い争いを止めて目的の階層から新しい選択肢Dを作り、重みを誰が引き受けるかを設計する(Q3)。

Opportunity Solution Tree

成果 → 機会 → 解決策 → 仮説検証の4層。要望(解決策)と成果の間に「機会」を挟み、要望の件数に引きずられない。

EVPI / EVSI

情報は判断を変えうるときだけ価値を持つ。完全情報の価値が調査費の上限、不完全な調査の価値はさらに下。遅延コストも数える。

Value-Focused Thinking

選択肢より先に根本目的を置く。「なぜ大事?」で上がり、「どうやって?」で下がる。重みは価値判断として決定権者が引き受ける。

Q1 ★★★☆☆ 基本 Opportunity Solution Tree——14件の機能要望を「ロードマップ」に並べる前に、成果と機会の木に翻訳する
シナリオ — 中堅企業向け経費精算SaaS「Kakeibo Cloud」(顧客約900社) / プロダクトマネージャー

今四半期の成果目標は「月次締め日までに経費精算を完了できた顧客企業の割合を 71% → 85%」(解約理由の1位が「締めが遅れて経理が残業する」)。営業部長は「要望件数の多い順に作ればいい」と言う。

#要望要望元
R1承認依頼をSlack/Teamsに通知営業経由 11社
R2一括承認ボタンCS経由 7社
R3領収書OCRの精度向上CS経由 9社
R4不在時の代理承認者設定営業経由 4社
R5会計ソフト向けCSV形式の追加営業経由 12社
R6差し戻し理由の定型文CS経由 3社

先月の締め遅延申請 3,480件の内訳仮定:承認待ち3日以上滞留 62%/差し戻し往復2回以上 21%/締め日後の申請 17%

問い
  1. OST(Teresa Torres, Continuous Discovery Habits, 2021)を説明し、「要望件数順」がこの成果目標に対してなぜ危ういかを述べよ
  2. 6件の要望を「機会」の層に翻訳して木を描け(成果に関係しない要望はどれか)
  3. 最初に狙う機会を1つ選び、解決策を3案以上比較し、各案の最も危うい前提と1〜2週間の仮説検証を設計せよ
最も多い課題定義の失敗は、顧客が口にした解決策(要望)を解くべき問題と取り違えること。OSTは成果と解決策の間に機会の層を挟んでこれを防ぐ。核心は、(a) 件数は「声を届けた人の数」で成果への寄与ではない(R5は最多12社だが締め完了率とほぼ無関係)、(b) 別々の要望が同じ機会の別解である(R1とR4)、(c) 解決策は1つずつ可否判定せず、同じ機会に複数を並べて比較する(compare and contrast)。
1. 成果 締め完了率 71% → 85% 要望より先に見る 2. 機会 A 承認滞留 62% B 差し戻し 21% C 期限後申請 17% 3. 解決策を比較 S1 通知 / S2 催促 S3 代理 / S4 一括 S2は要望にない案 4. 仮説検証 最も危うい前提を1つ ログ・手動代行・ 短いインタビュー 罠:要望リスト(R1〜R6)から直接 3. に飛び、件数順に並べる ── 機会の層が消える
罠:「承認滞留62%」を1つの箱のまま扱う。気づかない(A1)/後回し(A2)/不在(A3)で打ち手はまったく違う。
判断の軸:「この解決策が効くために真でなければならない前提のうち、外れたら致命的で根拠が最も薄いものはどれか」。その1点だけを最小コストで確かめる。
模範解答の核心
狙う機会はA:承認者が期限内に承認しない(62%)。ただし最初の検証は、A1(気づかない)・A2(後回し)・A3(不在)の内訳を知ることに置く。R5(CSV形式、最多12社)は締め完了率の木の外にあり、今四半期は保留して理由を営業に返す。

① 「要望件数順」が危うい3つの理由

  • 件数は成果への寄与を測っていない:営業経由の要望は商談中・大口に偏る。
  • 同じ機会への別解が別々に数えられる:R1(11社)とR4(4社)は同じ機会Aへの解。
  • 機会の大きさはデータが示している:62/21/17%の比率は要望リストのどこにも現れない。

② 要望を機会に翻訳した木

成果:締め日までに精算を完了できた顧客の割合 71% → 85% ├─ 機会A:承認者が期限内に承認しない(62%) │ ├─ A1 承認依頼に気づかない … R1 通知 │ ├─ A2 気づいているが件数が多く後回し … R2 一括承認 │ └─ A3 出張・休暇で不在 … R4 代理承認 ├─ 機会B:差し戻しの往復が多い(21%) │ ├─ B1 差し戻し理由が伝わらない … R6 定型理由 │ └─ B2 読み取り誤りが差し戻しを生む … R3 OCR ├─ 機会C:締め日直前まで申請しない(17%) │ └─ C1 領収書をためこみ入力を後回し … R3 OCR(入力負担) └─ (成果の外)会計ソフト取り込み形式 … R5 → 新規獲得の成果へ

③ 解決策の比較と仮説検証

機会Aの半分を解消できれば遅延全体の約3割に効く導出 62%×1/2。

解決策最も危うい前提1〜2週間の検証
S1 Slack/Teams通知(R1)滞留の主因は「気づかない」既存メールの開封率と開封→承認の時間をログで測る。開封率が高いのに滞留なら仮説は弱い
S2 締め3日前の自動エスカレーション経理が催促でき、催促すれば動くWizard of Oz:遅延の多い20社にCSが手動で未承認リストを送り、4週間の完了率を比較
S3 代理承認(R4)不在が滞留の有意な割合予定表連携のある顧客で、滞留期間中の承認者不在率を数える
S4 一括承認(R2)後回しの理由は1件ずつ開く手間承認者5〜8名に滞留した日の行動を聞く
S2は要望リストに存在しない案。機会の層で考えると、要望にない解決策が自然に出てくる。

迷った他案と採らなかった理由

  • RICEで14件を採点:Reachに要望件数を入れると営業偏りがそのまま点数になる。機会を定義した後の、同じ機会内の比較なら使える。
  • JTBDインタビューから始める(08-12 Q1):補完的だが、遅延ログという行動データがあるので量的な内訳を先に切る。
  • 前提が変わったら:成果目標が「新規獲得数」なら、R5が最有力に変わる。

実践への応用

実務・キャリアへの展開

  • 基盤チーム:他チームの依頼を自チームの成果(デプロイ所要時間など)の木にぶら下げると、断る理由と代替案を同時に説明できる。
  • 資金調達前:機能一覧ではなく「成果→機会→検証済みの解決策」の木で、順番の理由を1枚で示す。
  • グローバル:国ごとの営業人員差が件数を歪める。機会の層で国をまたいで束ねる。
自己評価(解答後に記入)
自分の考え・解答メモ:
気づき・メモ:

Q2 ★★★★☆ 標準 情報の期待価値(EVPI/EVSI)——「パイロットで確かめてから決めたい」に、いくらまで払ってよいか
シナリオ — 中小運送会社向け配車SaaS「RouteBase」(顧客1,200社・ARR 9.6億円) / 事業責任者

「車両台数の月額固定」から「配車件数の従量課金」への移行を検討中。1年間の影響で評価する仮定。

状態事前確率全顧客移行時のARR影響
S1 受け入れる0.6+12%(+1.152億円)
S2 反発して解約増0.4−8%(−0.768億円)

CFOは「100社で8週間パイロットしてから」と主張。直接コスト400万円、全体移行が2ヶ月遅れる。当たり方:S1なら80%で「受容」、S2なら75%で「反発」(25%は誤って「受容」)。

問い
  1. 今決める場合の最適選択と期待値、そしてEVPIを求め、EVPIが何の「上限」かを述べよ
  2. パイロットのEVSIを求め、直接コストと遅延コストを差し引いて実施すべきか判断せよ
  3. CFOへの提案を、結論が反転する前提(数値)と、情報を買う以外の打ち手を含めて述べよ
「もう少し調べてから」は慎重さの装いをした先送りになりやすい。Howard("Information Value Theory", IEEE Trans. Systems Science and Cybernetics, 1966)は、情報は判断を変えうるときだけ価値を持ち、その価値は金額で上限を引けることを示した。(a) EVPIは調査費の天井、(b) 不完全な調査のEVSIはずっと低い、(c) 直接コストより遅延コストが効く——を手で計算して体感し、さらに「決定を取り消し可能な形に作り替える」別の打ち手に気づけるかを問う。
1. 今決めると 移行 EV +3,840万 2. EVPI 調査費の天井 3,072万 3. EVSI ベイズ更新して 922万 天井の約3割 4. コスト 直接 400万 遅延 794万 計 1,194万 5. 判断 約272万の損 → 決定を 作り替える 罠:直接コスト400万円だけ見て「安い」と判断し、2ヶ月の遅延が失う期待利益を数えない
罠2:「当たる確率80%」を「80%の確率で正しく判断できる」と読み替える。事前確率と組み合わせると事後確率は 82.8%/28.6% になる。
判断の軸:EVSI > 直接コスト+遅延コスト なら調べる。そうでなければ今決めるか、決定の構造を変える。
模範解答の核心
今決めるなら移行(EV +0.384億円)。EVPI 3,072万円がどんな調査にも払ってよい上限。CFOのパイロットはEVSI 922万円 < コスト1,194万円で約272万円の損。結論を反転させるのは事前確率 p = 0.40。提案は「情報を買う」より「既存顧客の解約という取り返しのつかない部分を料金設計で切り離す」。

① 今決める場合とEVPI

  • EV(移行)= 0.6×1.152 − 0.4×0.768 = +0.384億円、EV(現状維持)= 0 → 移行
  • EV(完全情報)= 0.6×1.152 = 0.6912億円 → EVPI = 0.3072億円(約3,072万円)
  • =「S2なのに移行してしまう損失の期待値」0.4×0.768 と一致

② パイロットのEVSI

「受容」と出る「反発」と出る
S1(0.6)0.480.12
S2(0.4)0.100.30
合計0.58 → P(S1)≒0.828、EV +0.821 → 移行0.42 → P(S1)≒0.286、EV −0.219 → 現状維持
項目金額
パイロットした場合のEV0.48×1.152 − 0.10×0.768 = 0.47616億円
EVSI0.47616 − 0.384 = 約922万円
直接コスト400万円
遅延コスト(2/12)0.47616×2/12 ≒ 約794万円
差し引き約 −272万円(実施しない)

参考:4週間・250万円・当たり方75%/70%に縮めても、EVSI 約422万円 < 250万+1ヶ月遅延 約355万円 = 605万円。事前の見立てが移行寄りで遅延が高くつくと、情報はなかなか元が取れない。

③ CFOへの提案

1反転点を示す:p×1.152 = (1−p)×0.768 → p = 0.40。議論すべきは「0.6の根拠は何か、0.4を割る可能性はどれほどか」。
2損失の非対称性:S2は解約で戻らない。期待値はリスク中立の前提。資金繰りを脅かす規模なら最悪ケースで判断し、結論は変わる。
3決定を作り替える:新規契約から従量課金、既存は更新時に選択制。または既存に「旧料金との安い方」を12ヶ月保証。下振れを構造的に切り離す(期待値は再計算が必要)。
You
事業責任者 → CFO

パイロットの価値を計算すると、最大922万円の情報に1,194万円払う形になります。それより、失敗したときに取り返しのつかない部分——既存顧客の解約——を料金設計で切り離す方が、同じ慎重さをより安く買えます。

迷った他案と採らなかった理由

  • パイロットを300社に拡大して精度を上げる:天井はEVPI 3,072万円のままで、遅延コストが同じなら改善は限定的。
  • 期待効用で計算:より正確だが効用関数の合意コストが高い。まず期待値+最悪ケースの2本。資金繰りが厳しい会社なら必須。
  • 前提が変わったら:料金改定が年1回の決まった月にしかできず、どのみち待つなら遅延コストはほぼゼロ → パイロットは約522万円の得に転じる。

実践への応用

実務・キャリアへの展開

  • 技術選定:「PoCを3ヶ月」の前にEVPIで上限を出し、止まる開発の機会費用と比べる。
  • A/Bテストの打ち切り:追加サンプルのEVSIが1日あたりの機会損失を下回ったら止める。
  • 海外進出:「調査をもう一度」の前に、結果次第で本当に判断が変わるかを問う。変わらないなら情報価値はゼロ。
自己評価(解答後に記入)
自分の考え・解答メモ:
気づき・メモ:

Q3 ★★★★★ 応用 Value-Focused Thinking——選択肢A・B・Cの言い争いで止まった電子カルテ更改を、「何を大事にしたいか」から組み立て直す
シナリオ — 地方の医療法人(3病院・計620床) / 新任CIO(外部招へい)

電子カルテは2027年秋に保守期限。情報システム部(専任2名)が示した3案で、会議は半年止まっている。

案内容5年TCO仮定
A現行ベンダーでオンプレ更改7.8億円
Bクラウド型へ一括移行6.1億円
C2年延命して再検討2.9億円(2年分)
理事長「とにかく安い方がいい」/看護部長「看護記録に1勤務110分。これが減らないなら現場は疲弊する」/医師代表「操作が変わると外来が回らない。時間外労働の上限規制も始まっている」/地域連携室長「診療所や介護施設との連携を広げたい」/情シス部長「2名ではオンプレ運用は限界。ランサムウェアが怖い」/事務長「補助金の期限に間に合う案に」
問い
  1. Keeney(Value-Focused Thinking, 1992)の alternative-focused と value-focused を説明し、会議が止まっている理由を診断せよ
  2. 6人の発言から根本目的と手段目的を切り分け、目的の階層を作れ
  3. 目的の階層からA・B・Cにない新しい選択肢を生成し、重みが対立する中で誰がどう決めるかを設計せよ。この手法でも解消できない部分も明示すること
会議は最初に出た選択肢の比較から始まり、その枠内で行き詰まる。Keeneyは目的を先に明確にしてから選択肢を作ることで、よりよい選択肢そのものを生めると論じた。核心は、(a) 各発言者は異なる目的を「A・B・Cへの賛否」の形で代弁している、(b)「安い方がいい」「補助金に間に合う」は多くの場合手段目的、(c) 目的を明確にしてもトレードオフは消えず、価値判断は誰かが正統性をもって引き受けるしかない。
1. 発言を 目的に書き直す 賛否ではなく 何を守りたいか 2. なぜ?で上がる 安い方がいい ↓ なぜ? 財務的持続性 根本目的 4つ 3. どうやって? で新案を作る D:段階移行+ 負担削減+ オフライン退避 4. 重みと感度 D 73.25 / B 65.0 財務の重み 約0.48で逆転 5. 引き受ける 重みは理事会 Dの効果は仮説 諦めたものを 言葉で伝える 罠:スコアを出して「計算で決まった」と責任を数式に預ける/重みを多数決で決める 重みは価値判断。影響を受ける人の声を聞いたうえで、決定権者が引き受ける
判断の軸:「重みを変えたら順位はどこで入れ替わるか」「その地点は現実的な重みの範囲内か」。
模範解答の核心
会議は、各人が自分の目的を守れそうな案に賛成する代理戦争で止まっている。目的の階層を作ると「安い」「補助金」は手段目的だと分かり、目的から逆算して新案D(病院ごとの段階移行+看護記録の負担削減+オフライン退避)が生まれる。仮定の重みではD 73.25 > B 65.0、財務の重みが約0.48を超えるとBが逆転。重みは理事会が引き受け、Dの効果は6ヶ月の実測で検証する。

② 目的の階層

最上位:地域の住民に、安全で継続的な医療を提供し続ける ├─ 根本目的1:患者安全と診療の継続性 ├─ 根本目的2:医療従事者の負担を減らす(看護記録110分・医師の時間外) ├─ 根本目的3:法人の財務的な持続性 └─ 根本目的4:地域の医療・介護との連携を広げる 手段目的 ├─ 初期費用を抑える/補助金の期限に間に合わせる → 3の手段 ├─ 操作性の変化を小さくする → 2・1の手段 ├─ 少人数で運用できる形にする → 1・3の手段 └─ ランサム対策・オフライン参照のバックアップ → 1の手段
国内では2021年10月に半田病院、2022年10月に大阪急性期・総合医療センターがランサムウェアで電子カルテを長期間使えなくなり、通常診療の再開まで約2ヶ月を要したと報じられている(調査報告書の原文は本ファイルで再確認していない)。厚労省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」(2023年5月)も非常時の事業継続とバックアップを求める。情シス部長の不安は根本目的1に直結する。

③ 新案Dと重み付けすべて仮定

案安全(0.35)負担(0.30)財務(0.20)連携(0.15)合計
A オンプレ更改6040205044.5
B クラウド一括7060607065.0
C 2年延命2030903038.5
D 段階移行+負担削減8580457073.25

感度:財務の重みを上げ他を元の比率で縮めると、D−B = 14.06 − 29.06×(財務の重み)。財務0.40でD 66.2/B 63.75、約0.48で逆転。問うべきは「財務を他の3つの合計とほぼ同じくらい重視するか」。

1重みは理事会が決める:事前に看護部長・医師代表・地域連携室長から「最悪→最良のスイングの大事さ」を個別に聞き、記録を理事会資料に添付。多数決にしない。
2Dの「負担80」は仮説と明記:第1病院の移行後6ヶ月で看護記録時間を実測(現状110分)。外れたら第2病院以降を見直す修正点を先に決める。
3判断の記録:「重みをこう置いたからこの案。重みを変えるならこの地点で判断が変わる」の形で残す。
この手法でも解消できない部分
  • 重みそのもの:価値判断で、手法は明示化するだけ。赤字病院の閉鎖リスクが現実的なら財務を重く見るのは誤りではない。
  • 測りにくさ:「医師の時間外1時間」と「TCO 1,000万円」を同じ尺度に乗せることへの抵抗は数字では消えない。何を諦めたかを言葉で伝える。
  • 採点者の偏り:D提案者のCIOが採点するとDに甘くなる。第三者による見直しを1回挟む。

迷った他案と採らなかった理由

  • 重み付きマトリクスで最初からA・B・Cを採点(07-08 Q2):評価軸が選択肢に引きずられ、Dが生まれない。VFTの後に使うのが正しい順序。
  • AHPの一対比較:範囲を無視した「安全と財務どちらが大事か」になりやすい。範囲を明示するスイング重み付けを選んだ。
  • 前提が変わったら:今期中に資金ショートの見込みなら、財務は重みではなく下限条件になり、Cが合理的になりうる。

実践への応用

実務・キャリアへの展開

  • 技術スタック選定:「Go か TypeScript か」を止めて根本目的(採用・復旧速度・開発速度)を先に置くと、「部品ごとに分ける」第3案が出る。
  • キャリア:A社・B社で迷ったら、5年後に実現したいことから逆算すると「社内異動+副業で検証」が見えることがある。
  • グローバル合弁:各国の制度に合う案を推す代理戦争を、「手段目的の違い」として整理し、根本目的の一致を確認する。
自己評価(解答後に記入)
自分の考え・解答メモ:
気づき・メモ:

扱わなかった範囲・参照文献

問扱わなかった範囲
Q1OSTの継続的インタビューの習慣、顧客セグメント別の機会の大きさ。遅延の比率は仮定値
Q2効用関数・リスク回避度。「新規から従量課金」案の期待値は未計算。確率・影響は仮定値
Q3複数の決定者の選好集約(社会的選択)。採点・重みは仮定値。ランサム事例は報道ベース
  • Teresa Torres, Continuous Discovery Habits, Product Talk LLC, 2021
  • Ronald A. Howard, "Information Value Theory", IEEE Transactions on Systems Science and Cybernetics, SSC-2(1), 1966
  • Ralph L. Keeney, Value-Focused Thinking: A Path to Creative Decisionmaking, Harvard University Press, 1992
  • 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」2023年5月

今日のまとめ・次回へ

Thinking-A
OST・EVPI/EVSI
Value-Focused Thinking

要望の件数ではなく成果と機会の木で「何を解くか」を決め(Q1)、情報は判断を変えうるときだけ価値を持ち、その値段は上限まで計算できると知り(Q2)、選択肢の言い争いを止めて目的から新しい選択肢を作り、残った価値判断を誰が引き受けるかを明示する(Q3)。共通するのは、目の前の「リスト」を比べ始める前に、一段上の問いへ上がる規律である。

次回への接続(明日: EQ-B 対人スキル・関係管理)

Q3でCIOは、看護部と医師に「何を諦めたのか」を言葉で伝える必要があった。計算で正しい判断を導いても、自分の目的が軽く扱われたと感じた人の納得は、深い傾聴と相手の損失を認める伝え方でしか得られない。明日はその対人側の技術を鍛える。