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03

データアーキテクチャ

Data Architecture — DAMA-DMBOK 2nd Edition Chapter 4

6% ≈ 6問
データアーキテクチャとは

組織のデータ資産を管理するための仕様・フレームワーク・計画の総体。データの収集・格納・配布・消費に関するマスタープラン。

"Data Architecture defines the blueprint for managing data assets by aligning with organizational strategy to establish strategic data requirements and designs to meet those requirements."
データアーキテクチャの目的
  • 1. データ資産の管理に関する標準と仕様を定義する
  • 2. ビジネス戦略と整合したデータ構造を設計する
  • 3. データ統合・共有の基盤となる標準と規則を提供する
  • 4. ストレージ・アクセス・移動の長期的な計画を立てる
1エンタープライズアーキテクチャ(EA)フレームワーク
TOGAF — 最も広く使われるEAフレームワーク
Domain 1
Business Architecture
ビジネス戦略・組織・プロセス
Domain 2 ← DAMA主管
Data Architecture
データ構造・管理・EDM
Domain 3
Application Architecture
アプリケーション・インターフェース
Domain 4
Technology Architecture
インフラ・ネットワーク・ハードウェア

🔑 試験ポイント: TOGAFの4ドメイン順序は Business → Data → Application → Technology

Zachman Framework — 6×6マトリクス

企業アーキテクチャを「What(何)× Who(誰)」の6×6マトリクスで整理するフレームワーク。

視点 / 質問 Why(なぜ) How(どのように) What(何を) Who(誰が) When(いつ) Where(どこで)
内容 動機・目標 機能・プロセス データ・エンティティ 人・組織 時間・スケジュール 場所・ネットワーク
TOGAFとの違い

TOGAFはプロセス(ADM)中心。Zachmanはマトリクス(分類)中心。両方を組み合わせて使うことが多い。

Zachmanの特徴

6行(ステークホルダー視点)×6列(質問)のマトリクス。データの「What」列がデータアーキテクチャに対応。

2データアーキテクチャスタイル比較
モダンデータアーキテクチャの4層構造
Source Layer(ソース層) RDB / IoT / ログ / API / SaaS — データの発生源 Storage / Ingestion Layer(格納・取込層) Data Lake(S3/GCS)/ Data Warehouse(Snowflake/BigQuery)/ ODS — 一元管理 Processing / Transform Layer(処理・変換層) ETL/ELT / Spark / Stream Processing(Kafka・Flink)— バッチ/リアルタイム Serving / Consumption Layer — BI / ML / API
4
Serving / Consumption Layer
BI(Tableau/Power BI)、ML API、アドホッククエリ — データの消費層
消費
3
Processing / Transform Layer
ETL/ELT変換・Spark処理・ストリーム処理 — データの加工・変換層
処理
2
Storage / Ingestion Layer
Data Lake・DWH・ODS — データの一元格納・管理層
格納
1
Source Layer
RDB・IoTデバイス・ログ・API・SaaS — データの発生源
発生源
🏢 Data Warehouse(DWH)
Schema-on-Write 構造化データのみ
ETLで事前変換 → 高品質な構造化データを格納。BI・レポーティングに最適化。
✓ 高品質・一貫性
✓ 高速クエリ(OLAP最適化)
✗ 非構造化データに不向き
✗ スキーマ変更コストが高い
🌊 Data Lake
Schema-on-Read 全形式OK
生データをあらゆる形式で格納。読み取り時にスキーマを適用。ML・DS用途に適す。
✓ 柔軟・低コスト格納
✓ 非構造化データ対応
✗ データスワンプ化リスク
✗ BI用途に速度が遅い
🏠 Data Lakehouse
両方対応 全形式
Data Lake + DWHの特性を統合。Delta Lake/Icebergでトランザクション保証を追加。
✓ DWH品質 + Lake柔軟性
✓ BI/ML両方対応
✗ 設計・運用が複雑
✗ 学習コストあり
🕸️ Data Mesh
ドメイン分散 全形式
ドメインチームがデータプロダクトを自律的に所有・管理。中央ボトルネックを解消。
✓ 中央チームのボトルネック解消
✓ ドメイン専門性を活用
✗ 一貫性確保が困難
✗ 各ドメインに開発力が必要
アーキテクチャスタイル詳細比較
スタイルスキーマ方式データ種別特徴・用途
DWH Schema-on-Write 構造化のみ 高品質・分析最適化。BI/レポーティング向け
Data Mart Schema-on-Write 構造化のみ DWHの部門特化サブセット
ODS Schema-on-Write 構造化 Operational Data Store。リアルタイム統合データ
Data Lake Schema-on-Read 全形式(構造化/非構造化/半構造化) 柔軟・低コスト。ML/DS向け。スワンプ化リスクあり
Data Lakehouse 両方対応 全形式 DWH+Lake統合。Delta Lake/Iceberg利用
Data Mesh ドメイン分散 全形式 4原則(Domain/Product/Self-serve/Federated Gov)
Lambda Architecture 全形式 バッチ + ストリーム処理を統合。2コードベース問題あり
Kappa Architecture 全形式 ストリーム処理のみで統一。単一コードベース
3エンタープライズデータモデル(EDM)
EDMの構造と役割

EDM(Enterprise Data Model)とは、組織全体のビジネスエンティティとその関係を定義した概念・論理データモデル。部門横断の共通言語を提供する「データの地図」。

  • 主要なビジネスエンティティとその関係
  • データドメインの定義
  • 組織全体の共通言語を提供
  • 各システム間のデータ連携基盤
Enterprise Data Model │ ├── Subject Area: Customer Mgmt │ ├── Customer (Entity) │ ├── Address (Entity) │ └── Contact (Entity) │ ├── Subject Area: Product Mgmt │ ├── Product (Entity) │ └── Pricing (Entity) │ └── Subject Area: Financial ├── Account (Entity) └── Transaction (Entity)
アーキテクチャ文書の種類
文書内容
EDM エンタープライズデータモデル組織全体のデータ構造の概念・論理モデル
DFD データフロー図データがシステム間をどう流れるか
DB Architecture物理的なデータストアの構成
Integration Archシステム間のデータ連携方式
4データアーキテクトの役割
Enterprise Data Architect

組織全体のデータアーキテクチャを策定・管理。EDM・データ標準・データ統合方式の設計。

全社スコープ
Solution Data Architect

特定のプロジェクト・システムの設計。EDMに準拠した物理データベース設計。

プロジェクト単位
Data Infrastructure Architect

ストレージ・処理基盤・クラウドプラットフォームの設計・管理。

インフラ特化
🔑 試験ポイント: Enterprise Data Architect = 全社。Solution Data Architect = 特定プロジェクト。混同注意。
🔑 TOGAFの4ドメイン(順番ごと覚える)
Business Data ← ここ! Application Technology
アーキテクチャスタイル クイック比較
スタイルスキーマデータ種別最大の特徴
DWHSchema-on-Write構造化のみ高品質・分析最適化
Data LakeSchema-on-Read全種(生データ)柔軟・低コスト。スワンプ化注意
Lakehouse両方対応全種DWH+Lake統合(Delta Lake)
Data Meshドメイン分散全種自律型データプロダクト(4原則)
Lambda全種バッチ + ストリーム統合
Kappa全種ストリームのみ(単一コードベース)
重要フレームワーク比較
フレームワーク構造特徴
TOGAF4ドメイン + ADMプロセス最広用EAフレームワーク。プロセス(ADM)中心
Zachman6行×6列マトリクスWhy/How/What/Who/When/Where × 視点(分類整理に強い)
接続数の計算(試験頻出)
Point-to-Point接続

N個のシステム → N×(N-1)/2 個の接続

10システム = 45接続(管理不能)

Hub-and-Spoke(ESB)

N個のシステム → N 個の接続

10システム = 10接続
システム数4以上ならHub有利

絶対に覚えるキーワード
TOGAF = 4ドメイン EAフレームワーク EDM = 組織全体の概念・論理モデル Data Lake = Schema-on-Read DWH = Schema-on-Write Zachman = 6×6マトリクス Lambda = バッチ+ストリーム Kappa = ストリームのみ Enterprise Architect = 全社スコープ Solution Architect = プロジェクト単位 4以上ならHub-and-Spoke有利
⚡ 試験直前「これだけ覚えろ」ボックス
1
TOGAFの4ドメイン順: Business → Data → Application → Technology
2
EDM(Enterprise Data Model) = 組織全体の概念・論理モデル(共通言語)
3
Data Lake = Schema-on-Read(生データ格納)/ DWH = Schema-on-Write
4
Lambda = バッチ + ストリーム / Kappa = ストリームのみ(運用シンプル)
5
Zachman = 6×6マトリクス(Why/How/What/Who/When/Where)
6
Enterprise Data Architect = 全社スコープ / Solution = 特定プロジェクト
7
N個のシステムをP2P接続 = N×(N-1)/2。4以上はHub-and-Spokeが有利

練習問題 — データアーキテクチャ

目標: 80%以上正解(6問中5問)

スコア: 0 / 0
Q1 / 6
TOGAFにおけるアーキテクチャの4ドメインのうち、データの構造・管理を担当するのはどれか?
正解: B) Data Architecture
TOGAFの4ドメイン: Business / Data / Application / Technology。Data Architectureはデータ構造・管理を担当し、DAMAが主管する領域。
Q2 / 6
組織全体のビジネスエンティティとその関係を定義した概念・論理データモデルを何と呼ぶか?
正解: B) エンタープライズデータモデル(EDM)
EDMは組織全体の概念・論理モデルであり、部門横断の共通言語を提供する「データの地図」。物理データモデルとは異なる。
Q3 / 6
Data Lake の特徴として正しいのはどれか?
正解: C) Schema-on-Read
Data Lake は生データをあらゆる形式で格納し、読み取り時にスキーマを適用する。DWHは逆のSchema-on-Write(書き込み時にスキーマ定義)。
Q4 / 6
バッチ処理とストリーム処理を統合したアーキテクチャパターンはどれか?
正解: B) Lambda Architecture
Lambda Architecture = バッチレイヤー(正確・遅い)+ スピードレイヤー(近似・速い)+ サービングレイヤー。Kappa はストリームのみ。
Q5 / 6
組織全体のデータアーキテクチャを策定・管理する役割を何と呼ぶか?
正解: C) Enterprise Data Architect
Enterprise Data Architect = 組織全体のスコープ。Solution Data Architect = 特定プロジェクト・システムの設計担当。
Q6 / 6
Zachman Frameworkの特徴を正しく説明しているのはどれか?
正解: B) 6×6マトリクス
Zachman Framework = 6行(ステークホルダー視点)× 6列(Why/How/What/Who/When/Where)のマトリクス。ビジネスアーキテクチャ特化ではなく全体を網羅。
Case 1データプラットフォームのアーキテクチャ選択
背景: 急成長フィンテック企業(DAU: 300万人)。本番DBへの分析クエリ負荷・2TB/日のログ増加・リアルタイム不正検知要件・ML用データアクセスの4つの課題が同時発生。
アーキテクチャ検討の比較
Option 1: Data Warehouse(不採用)
ソース → ETL → DWH(Snowflake/BigQuery)→ BI
✓ 構造化データに最適
✓ SQL利用者が多い組織に馴染む
✗ 非構造化データ(ログ)に不向き
✗ ML用途に不向き
Option 2: Data Lake(不採用)
ソース → [Data Lake(S3/GCS)] → Spark → ML / Adhoc分析 ↓ BI(クエリが遅い)
✓ あらゆる形式のデータを低コストで保管
✓ MLに最適
✗ 品質管理が困難(「データスワンプ」化)
✗ BI用途に遅い
Option 3: Data Lakehouse(採用)
ソース → [Data Lake(S3)] ↓ Delta Lake / Iceberg でトランザクション保証 [Lakehouse Layer] ├── [BI Layer](Databricks SQL / Redshift Spectrum) ├── [ML Layer](Spark / MLflow) └── [Streaming Layer](Kafka + Spark Streaming)
✓ 非構造化+構造化を統一基盤で管理
✓ リアルタイム不正検知はStreamingで
✓ ML用途もLake側に直接アクセス
✓ BI用途は高速クエリで対応
Case 2Data Mesh への移行
背景: 大手メディア企業(事業部門数12、データエンジニア4名)。中央集権型データチームがボトルネック — データリクエストのバックログ80件以上、平均6週間待ち、中央チームが全ドメインを理解できない状態。
Data Mesh の4原則(Specialist試験頻出)
1.
Domain Ownership(ドメインオーナーシップ)
データは生成したドメインチームが所有・管理。例: ECチームはEC関連データを、広告チームは広告データを管理。
2.
Data as a Product(データをプロダクトとして扱う)
データはETLの副産物ではなく、消費者のためのUI/APIを持つプロダクト。
Data Product の特性: □ Discoverable(データカタログで検索可能) □ Addressable(一意のURIを持つ) □ Trustworthy(SLAとDQ保証) □ Self-describing(メタデータと文書化) □ Interoperable(標準フォーマット) □ Secure(アクセス制御)
3.
Self-serve Data Platform(セルフサービスプラットフォーム)
各ドメインが独立してデータプロダクトを構築・運用できる基盤。インフラ・デプロイ・監視・カタログ登録を自動化。
4.
Federated Computational Governance(連邦型計算ガバナンス)
各ドメインが自律的だが、グローバル標準(データフォーマット・セキュリティポリシー・インターオペラビリティ仕様)は守る。
Data Mesh vs 従来型DWH — 選択基準
状況推奨
小〜中規模、ドメインが少ない従来型DWH
データドメインが多く、各ドメインに開発力があるData Mesh
中央チームがボトルネックになっているData Mesh を検討
データの整合性・一貫性が最重要従来型DWH(Mesh はFederated故に難しい)
Case 3エンタープライズデータモデル(EDM)の設計
EDMがないとどうなるか

問題1: 「顧客」の定義が部門ごとに異なる

  • 営業部門: 「見込み客も顧客」
  • 請求部門: 「支払い実績のある法人のみ」
  • マーケ部門: 「メールを受信している全員」

→ 同じ「顧客数」レポートで数字が3倍異なる

問題2: N×(N-1)/2 個の変換ロジック

EDMがあれば各システムがEDMに準拠するだけで連携が簡単に

EDMの段階的構築
P1
主要エンティティの特定(概念レベル)
部門横断WS → ER図(20〜50エンティティ)
P2
定義の合意
Business Glossaryへ登録。Stewardを任命
P3
論理モデルへの展開
属性・データ型・制約・ビジネスルールの定義
P4
物理実装への参照
EDMを参照してDB設計。乖離をガバナンスで管理
Case 4TOGAF × DAMA の組み合わせ
TOGAFの4ドメインとDAMAの関係
ドメイン内容DAMAとの関係
Business Architectureビジネスプロセス・組織Business Glossary / Data Governance
Data Architectureデータエンティティ・フローEDM / Data Lineage(DAMA主管)
Application Architectureアプリケーション・連携Data Integration Architecture
Technology Architectureインフラ・プラットフォームData Storage / Database選定
ADM(Architecture Development Method)とデータ管理
Phase A: Architecture Vision(全体ビジョン) → データ戦略の方向性 Phase B: Business Architecture → ビジネスプロセスとデータの関係 Phase C: Information Systems Architecture Data Architecture部分: → EDMの構築 → データリネージの定義 → セキュリティ要件 Phase D: Technology Architecture → DWHプラットフォーム選定 → データベース技術の選定
Lambda vs Kappa — 選択基準
Lambda Architecture
ソース ├──→ [Batch Layer](正確・遅い)→ [Serving] └──→ [Speed Layer](近似・速い)→ ↗
問題: 2つのレイヤーで同じロジックを実装(メンテナンス負荷)
✓ バッチ処理の正確性が最重要な場合
Kappa Architecture
ソース → [Stream Processing(Kafka+Flink)] → [Serving Layer]
利点: 単一コードベース。ストリームの再生でバッチも処理可能。
✓ 過去データの再処理が頻繁
✓ 運用シンプルさ優先の場合
Hub-and-Spoke vs Point-to-Point

試験頻出の計算: N個のシステムを接続する場合

  • Point-to-Point: N×(N-1)/2 個の接続。例:10システム = 45接続
  • Hub-and-Spoke(ESB/APIゲートウェイ): N 個の接続。例:10システム = 10接続
  • システム数が4以上ならHub-and-Spokeが有利(試験頻出の判断基準)