シラバス詳細 — Professional Data Engineer
公式試験ガイド(2024年改訂版)の全範囲を日本語化し、各項目に**「何が問われるか」「キーサービス」**を補足したものです。
学習前にここで地図を頭に入れ、各論は 02_学習資料/ で深掘りしてください。
凡例:🔑 = 頻出キーサービス/⚠️ = ひっかけ・判断ポイント
📐 セクション1:データ処理システムの設計(~22%)
データ基盤を「設計」する観点。セキュリティ・信頼性・移行を含む上流工程。
1.1 セキュリティとコンプライアンスを考慮した設計
- IAM(Cloud IAM、組織ポリシー)
- データセキュリティ(暗号化と鍵管理)
- プライバシー(PII=個人を特定できる情報の取り扱い戦略)
- リージョン考慮(データ主権:データのアクセス・保存場所)
- 法令・規制コンプライアンス
- プロジェクト/データセット/テーブルのアーキテクチャ設計(適切なデータガバナンス)
- マルチ環境のユースケース(開発 vs 本番)
🔑 Cloud IAM / 組織ポリシー / CMEK・CSEK / Cloud KMS / Cloud DLP / VPC Service Controls ⚠️ 「最小権限」「サービス境界での情報漏洩防止 (VPC SC)」「PIIはDLPでマスキング/トークン化」が定番解答
1.2 信頼性と忠実性を考慮した設計
- データの準備とクレンジング(Dataform、Dataflow、Cloud Data Fusion、LLMによるクエリ生成)
- データパイプラインの監視とオーケストレーション
- 災害復旧(DR)と耐障害性
- ACID(原子性・一貫性・独立性・永続性)準拠と可用性のトレードオフ判断
- データ検証
🔑 Dataform / Dataflow / Cloud Data Fusion / Cloud Composer ⚠️ ACIDが必要 → Spanner/Cloud SQL/AlloyDB、結果整合性で良い → Bigtable/Firestore
1.3 柔軟性とポータビリティを考慮した設計
- 現在・将来のビジネス要件をアーキテクチャへマッピング
- データ/アプリのポータビリティ設計(マルチクラウド、データ所在地要件)
- データのステージング・カタログ化・プロファイリング・ディスカバリ(データガバナンス)
🔑 BigLake / BigQuery Omni(マルチクラウド)/ Dataplex / Dataplex Catalog ⚠️ マルチクラウドのデータをBigQueryから直接分析 → BigQuery Omni / BigLake
1.4 データ移行の設計
- 現状のステークホルダー・ユーザー・プロセス・技術を分析し移行計画を作成
- Google Cloud への移行と検証の計画
🔑 BigQuery Data Transfer Service / Database Migration Service (DMS) / Transfer Appliance / Datastream / Storage Transfer Service ⚠️ 大容量オフライン転送 → Transfer Appliance、継続的CDC → Datastream、DB移行 → DMS
🔄 セクション2:データの取り込みと処理(~25%)★最重要
パイプラインの計画・構築・運用。出題比重が最も高いため最優先で学習。
2.1 データパイプラインの計画
- データのソースとシンクの定義
- データ変換とオーケストレーションロジックの定義
- ネットワーキングの基礎
- データ暗号化
🔑 Pub/Sub / Dataflow / Cloud Storage / BigQuery
2.2 パイプラインの構築
- データクレンジング
- サービスの見極め:Dataflow、Apache Beam、Dataproc、Cloud Data Fusion、BigQuery、Pub/Sub、Apache Spark、Hadoopエコシステム、Apache Kafka
- 変換(Transformations)
- バッチ
- ストリーミング(ウィンドウ処理、遅延到着データ)
- 処理ロジック
- AIによるデータエンリッチメント
- データの取得とインポート
- 新規データソースとの統合
🔑 Dataflow (Apache Beam) / Dataproc (Spark/Hadoop) / Cloud Data Fusion / Pub/Sub / BigQuery ⚠️ ストリーミング+サーバーレス → Dataflow、既存Spark/Hadoop資産の移行 → Dataproc、GUIでETL → Data Fusion ⚠️ ストリーミングのウィンドウ(固定/スライディング/セッション)とウォーターマーク・遅延データ処理は頻出
2.3 パイプラインのデプロイと運用化
- ジョブの自動化とオーケストレーション(Cloud Composer、Workflows)
- CI/CD(継続的インテグレーション・デプロイ)
🔑 Cloud Composer (Airflow) / Workflows / Cloud Build ⚠️ 複雑な依存関係のあるDAG → Composer、軽量なAPIオーケストレーション → Workflows
💾 セクション3:データの保存(~20%)
ストレージ選定とDWH/データレイク/データプラットフォーム設計。
3.1 ストレージシステムの選択
- データのアクセスパターンの分析
- マネージドサービスの選定:BigQuery、BigLake、AlloyDB、Bigtable、Spanner、Cloud SQL、Cloud Storage、Firestore、Memorystore
- ストレージのコストとパフォーマンスの計画
- データのライフサイクル管理
🔑 上記全サービス(選定の使い分けが核心) ⚠️ 意思決定ツリーは丸暗記必須(後述)
3.2 データウェアハウスの利用計画
- データモデルの設計
- データの正規化の度合いの決定
- ビジネス要件のマッピング
- アクセスパターンを支えるアーキテクチャ定義
🔑 BigQuery(パーティション・クラスタリング・非正規化・ネスト/繰り返しフィールド) ⚠️ BigQueryは非正規化+ネスト構造が基本(JOINよりSTRUCT/ARRAY)
3.3 データレイクの利用
- レイクの管理(データディスカバリ・アクセス・コスト制御)
- データの処理
- データレイクの監視
🔑 Cloud Storage / Dataplex / BigLake
3.4 データプラットフォームの設計
- 要件に基づくデータプラットフォーム構築(Dataplex、Dataplex Catalog、BigQuery、Cloud Storage)
- 分散データシステムのフェデレーテッドガバナンスモデルの構築
🔑 Dataplex / Dataplex Catalog(データメッシュ的な統合ガバナンス)
📊 セクション4:分析のためのデータ準備と使用(~15%)
BI可視化・AI/ML向け前処理・データ共有。
4.1 可視化のためのデータ準備
- ツールへの接続
- フィールドの事前計算
- BigQueryのBI機能(BI Engine、マテリアライズドビュー)
- 低速クエリのトラブルシューティング
- セキュリティ・データマスキング・IAM・Cloud DLP
🔑 Looker / Looker Studio / BI Engine / マテリアライズドビュー / 承認済みビュー (Authorized Views) ⚠️ 行/列レベルのアクセス制御、列マスキング(ポリシータグ)
4.2 AI・ML のためのデータ準備
- 特徴量エンジニアリング・学習・サービングのためのデータ準備(BigQuery ML)
- 非構造化データの埋め込み(embeddings)と RAG(検索拡張生成)向け準備
🔑 BigQuery ML / Vertex AI / Feature Store / Vector Search(埋め込み・RAG) ⚠️ SQLだけでML → BigQuery ML、本格MLOps → Vertex AI
4.3 データの共有
- 共有ルールの定義
- データセットの公開
- レポート・可視化の公開
- BigQuery共有(Analytics Hub)
🔑 Analytics Hub / 承認済みビュー / IAM ⚠️ 組織間でのデータ共有 → Analytics Hub(データのコピー不要)
⚙️ セクション5:データワークロードの保守と自動化(~18%)
運用フェーズ。コスト最適化・自動化・監視・耐障害性。
5.1 リソースの最適化
- ビジネス要件に応じたコスト最小化
- ビジネスクリティカルな処理への十分なリソース確保
- 永続クラスタ vs ジョブ単位クラスタの判断(Dataproc)
🔑 Dataproc(ephemeral クラスタ)/ プリエンプティブル VM / BigQuery スロット ⚠️ コスト最適化 → Dataprocはジョブ完了後に破棄するephemeralクラスタ+Cloud Storage
5.2 自動化と再現性の設計
- Cloud Composer用の DAG(有向非巡回グラフ) の作成
- 反復可能なジョブのスケジューリングとオーケストレーション
🔑 Cloud Composer (Airflow) / Workflows / Cloud Scheduler
5.3 ビジネス要件に基づくワークロードの編成
- キャパシティ管理(BigQuery Editions、予約 / reservations)
- インタラクティブ vs バッチクエリジョブ
🔑 BigQuery Editions (Standard/Enterprise/Enterprise Plus) / スロット予約 ⚠️ 予測可能な大量クエリ → 定額(Editions/予約)、散発的 → オンデマンド
5.4 プロセスの監視とトラブルシューティング
- データプロセスの可観測性(Cloud Monitoring、Cloud Logging、BigQuery管理パネル)
- 計画使用量の監視
- エラーメッセージ・課金問題・クォータのトラブルシューティング
- ワークロード(ジョブ・クエリ・コンピューティング容量)の管理
🔑 Cloud Monitoring / Cloud Logging / BigQuery INFORMATION_SCHEMA / 管理リソースチャート
5.5 障害の認識と影響の軽減
- 耐障害性とリスタート管理の設計
- 複数リージョン/ゾーンでのジョブ実行
- データ破損・欠損への備え
- データレプリケーションとフェイルオーバー(Cloud SQL、Redisクラスタ)
🔑 マルチリージョン / Cloud SQL HA・リードレプリカ / Memorystore (Redis) クラスタ ⚠️ Dataflowのスナップショット、Pub/Subのシーク、BigQueryのタイムトラベル(7日間)
🎯 学習優先度マトリクス
| セクション | 比重 | 難易度 | 学習優先度 |
|---|---|---|---|
| 2. 取り込みと処理 | 25% | 高 | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| 1. システム設計 | 22% | 中 | ⭐⭐⭐⭐ |
| 3. データの保存 | 20% | 中 | ⭐⭐⭐⭐ |
| 5. 保守と自動化 | 18% | 中 | ⭐⭐⭐ |
| 4. 分析準備 | 15% | 低〜中 | ⭐⭐⭐ |
戦略:比重の高いセクション2・3(ストレージ選定+パイプライン)で確実に得点する。これだけで約45%を占める。次に設計(1)。4・5は範囲が広いが深さは浅めなので、サービスの役割を押さえて取りこぼさない。