PMBOK 7th Edition: 12原則と8パフォーマンスドメイン
PMBOK 7th(2021年発行)はそれまでの「プロセス重視」から「原則・成果重視」へ大転換した。PMP試験は7th思想ベース。
12原則(Principles)
PMが意思決定をする際の 「行動指針」。すべての原則を暗記し、どの状況でどの原則が効くかを言語化できることが目標。
1. Stewardship(誠実な管理者であれ)
- 組織内外、より大きなものに対して責任を持つ
- 倫理的・誠実・思いやり・信頼性
- キーワード: integrity, care, trustworthiness, compliance
2. Team(協働的なプロジェクトチーム環境を作れ)
- 多様性を受け入れ、成果を最大化する
- 心理的安全性を担保する
- キーワード: collaboration, diversity, psychological safety
3. Stakeholders(ステークホルダーと関わり続けろ)
- 単なる「報告」ではなく、継続的なエンゲージメント
- 価値を共有・調整する
- キーワード: engage, value alignment
4. Value(価値にフォーカスせよ)
- スコープ完了より価値創出
- ビジネス便益・顧客満足・ROIを意識
- キーワード: business value, outcome, benefits realization
5. Systems Thinking(システム思考を持て)
- プロジェクトは独立しない。組織・市場・社会と相互作用する
- 全体最適を意識する
- キーワード: holistic, interaction, dynamics
6. Leadership(リーダーシップを示せ)
- 役職ではなく、行動で導く
- サーバントリーダーシップ・状況適応型リーダーシップ
- キーワード: servant leadership, motivation, vision
7. Tailoring(プロジェクトに合わせて調整せよ)
- アプローチ・プロセス・ツールをプロジェクト特性に合わせる
- 「PMBOK通り」ではなく「プロジェクト最適」
- キーワード: context-driven, adaptive
8. Quality(品質をプロセスと成果物に組み込め)
- 品質は事後検査ではなく、作り込む
- COQ(品質コスト)の考え方
- キーワード: built-in quality, prevention over inspection
9. Complexity(複雑性に対応せよ)
- 複雑性の源(人・システム・不確実性・技術)を識別
- 段階的アプローチで複雑性を低減
- キーワード: emergence, ambiguity, navigate
10. Risk(リスクに対応せよ)
- 脅威と機会の両方を扱う
- リスクは「悪いこと」だけではない
- キーワード: opportunity, threat, balance
11. Adaptability and Resilience(適応と回復力を持て)
- 変化を受け入れる柔軟性
- 障害から立ち直る回復力
- キーワード: change-ready, learning, recovery
12. Change(変化を可能にせよ)
- 組織変革をサポートする
- ステークホルダーが新しい状態を受け入れられるよう導く
- キーワード: change management, transition, adoption
12原則の暗記法
頭文字で覚える: S・T・S・V・S・L・T・Q・C・R・A・C (Stewardship, Team, Stakeholders, Value, Systems, Leadership, Tailoring, Quality, Complexity, Risk, Adaptability, Change)
ストーリー化: 「Ship's Team Sets Value, Systems Lead Tailored Quality Complex Risks Adapt Change」
8パフォーマンスドメイン(Performance Domains)
「プロジェクトの成功に重要な活動領域」。プロセスではなく 成果(outcome) にフォーカス。
1. Stakeholders(ステークホルダー)
- 期待される成果: 生産的な作業関係、価値合意、共通理解
- 主要活動: 識別・分析・優先順位付け・関与・モニタリング
2. Team(チーム)
- 期待される成果: チームメンバーの成長、共有オーナーシップ、高パフォーマンス
- 主要活動: ビジョン共有、リーダー育成、協働環境づくり
3. Development Approach and Life Cycle(開発アプローチとライフサイクル)
- 期待される成果: 適切なアプローチ選択、価値の最大化
- 主要活動: Predictive/Iterative/Incremental/Adaptive/Hybridの選択
4. Planning(計画)
- 期待される成果: 段階的に計画が詳細化される、適切なリソース配分
- 主要活動: スコープ・スケジュール・予算・調達・コミュ計画
5. Project Work(プロジェクト作業)
- 期待される成果: 効率的なプロセス、適切なリソース活用、知識共有
- 主要活動: チーム集中力維持、コミュニケーション、調達管理
6. Delivery(デリバリー)
- 期待される成果: ビジネスケースとベネフィット実現、ステークホルダー期待達成
- 主要活動: 要件管理、価値提供、品質確保
7. Measurement(測定)
- 期待される成果: パフォーマンスを評価できる、適切なタイミングで意思決定
- 主要活動: KPI設定、進捗追跡、根本原因分析、可視化
8. Uncertainty(不確実性)
- 期待される成果: リスクへの認識・対応、回復力
- 主要活動: 識別・分析・対応戦略・エスカレーション
ドメイン間の関係
8ドメインは独立せず、相互に作用する。
Stakeholders ←→ Team ←→ Development Approach
↘ ↓ ↙
Planning ←→ Project Work
↓
Delivery ←→ Measurement
↓
Uncertainty
出題でのポイント
1. 「PMBOK6プロセス」を聞かれたら
PMBOK7時代だが、PMBOK6の49プロセスから出題されることもある(特に基礎用語)。
2. 状況問題で迷ったら
- 「価値(Value)」を生むか
- 「ステークホルダー(Stakeholders)」が満足するか
- 「テーラリング(Tailoring)」されているか
- 「協働(Team)」を促すか
これらが優先される選択肢を選ぶ。
3. アジャイル文脈
- 「Tailoring」「Adaptability」「Team」原則が強調される
- スクラム/カンバン特化の用語問題は別途学習(06_Agile_Hybrid)
チェック問題
Q1
プロジェクトマネジャーが新しいツールを導入したい。組織の文化に強い抵抗がある。どの原則を最優先で意識すべきか?
A) Stewardship B) Tailoring C) Change D) Quality
解答: C — 組織変革(Change)原則。テーラリングも重要だが、抵抗への対応はChange原則が直接該当。
Q2
PMBOK7の特徴として正しいものはどれか?
A) 49プロセスを段階的に詳細化する B) 原則・パフォーマンスドメイン中心の枠組み C) Predictiveアプローチに特化 D) 標準テンプレートを必ず使うことを規定
解答: B — PMBOK6(プロセス中心)からPMBOK7(原則・成果中心)への大転換。
Q3
プロジェクトメンバーが意見を出さなくなった。どの原則をPMは思い出すべきか?
A) Team(心理的安全性) B) Quality C) Complexity D) Stewardship
解答: A — 協働環境・心理的安全性はTeam原則の核。