01_ソフトウェア開発PJ

ケース1: ソフトウェア開発プロジェクト(Predictive 中心)

ソフトウェアエンジニア出身のPMがリアルに経験するシナリオ。状況→判断→PMI流の正解を考える練習。


プロジェクト概要

背景

ステークホルダー

ステークホルダー 役割 関心
業務部長(スポンサー) 承認者・予算 コスト・期日厳守
物流現場マネジャー 主要利用者 使いやすさ・教育
経理部 SOX法準拠 監査ログ・職務分離
IT部長 内製5名の上司 内製チームの育成
外部ベンダーPM 開発主導 売上・納期
情報システム監査人 監査 コンプライアンス

アプローチ


シナリオ1: プロジェクト立ち上げ

状況

あなた(PM)がアサインされた直後、業務部長から「とにかく早く作って欲しい。WBSは見せなくていいから着手してくれ」と言われた。

質問

最初に何をすべきか?

選択肢

A) 即座に開発に着手し、結果で示す B) スポンサーの言う通り着手してWBSは後回し C) プロジェクト憲章を起案し、目的・スコープ・成功基準・主要リスクをスポンサーと合意。並行してステークホルダー識別と要件収集計画を立てる D) 別のスポンサーを探す

PMI流解説

正解は C。プロジェクト憲章は PMの権限の根拠。これなしで進めると、後で「そんな話聞いてない」「想定と違う」が頻発し、ベネフィット実現を損なう。

スポンサーの「早く作って」気持ちには、「最も早く価値を出す道筋を1週間で整理して提示します」 と返すのがPMI流。スピード感への共感を示しつつ、リスクを提示。

学習ポイント


シナリオ2: 要件のばらつき

状況

要件定義中に、物流現場マネジャー(北海道・関東・九州拠点 計5名)から「自分の拠点は他と違う運用なので個別仕様にしてほしい」と各々から要望が来た。

質問

PMの最適行動は?

選択肢

A) すべての要望を実装 B) スポンサーが選んだ拠点を優先 C) 共通要件と拠点特有要件を分け、ファシリテーション会議で共通化を協議。残った特有要件は影響度評価し、優先順位付け D) 拠点長に任せる

PMI流解説

正解は C。要件をすべて実装はGold Plating+スコープクリープ、却下は対立を生む。ファシリテーション(Brainstorming + Affinity Diagram + 投票)でWin-Winに近づける。

学習ポイント


シナリオ3: ベンダーの遅延

状況

開発フェーズ中盤、ベンダーPMから「予定の半分しか進捗してない。残業対応で間に合わせる」と報告。原因を聞くと「開発者の経験不足と仕様変更の多発」。

質問

PMの優先対応は?

選択肢

A) ベンダーに違約金を要求 B) EVMでスケジュール・コスト差異を定量化。ベンダーPMと根本原因分析(Fishbone等)。仕様変更プロセスを見直し、必要ならスコープ削減を提案 C) ベンダーを切って別ベンダーに切替 D) スポンサーに即報告

PMI流解説

正解は B

スポンサー報告は必要だが、PMが解決案を持って報告するのが望ましい。

学習ポイント


シナリオ4: 重要メンバーの離職

状況

ベンダーのリードエンジニア(要件・設計を一手に把握)が個人都合で1ヶ月後退職。

質問

PMの行動は?

選択肢

A) ベンダーに違約金請求 B) Knowledge Transfer計画を即作成、後任者の同行・ペアプログラミング・ドキュメント整備。リスク登録簿に記録し、CCBで影響評価。 C) 自分が代役を務める D) プロジェクト中断

PMI流解説

正解は B。リスクが顕在化(Issue化)した状況。

学習ポイント


シナリオ5: スポンサーの方向転換

状況

プロジェクト6ヶ月時点、スポンサーが「経営方針が変わった。AIを使った需要予測機能も追加で入れたい」と言ってきた。

質問

PMの対応は?

選択肢

A) 即着手(顧客至上主義) B) 拒否 C) 影響分析(スコープ・スケジュール・コスト・品質・リスク・他PJへの影響)。代替案(フェーズ2分離、MVP優先など)を作成。CCBで議論し、ベネフィットの再評価をスポンサーと合意 D) 影響を考えず計画書のみ更新

PMI流解説

正解は C

学習ポイント


シナリオ6: テストでの大量バグ

状況

受入テスト前のシステムテストで、設計の根本ミスに起因するバグが30件発覚。修正に1ヶ月必要と判明。本番リリースまで2ヶ月。

質問

PMの最優先行動は?

選択肢

A) 隠して対応 B) Root Cause Analysis(Fishbone, Pareto)で根本原因特定。COQ(リワークコスト)を計算。ベネフィット最大化視点で、リリース延期 or スコープ縮小 or 並行リリース+パッチ計画を選択肢化、CCBで合意 C) チームを叱責 D) ベンダー切替

PMI流解説

正解は B

学習ポイント


シナリオ7: 受入検収

状況

受入テスト中、現場マネジャー2人が「画面の挙動が要件と違う」「使いにくい」と検収拒否。仕様書通りに作っているが、実際の業務では非効率。

質問

PMの対応は?

選択肢

A) 仕様書通りなので強制検収 B) Validation(顧客要件適合)の観点で再評価。要件レビュー時のギャップを特定し、優先度高い改善は スプリントで対応、低優先は フェーズ2 で対応する合意を作る C) 全部作り直し D) スポンサー強制承認

PMI流解説

正解は B

学習ポイント


シナリオ8: クローズフェーズ

状況

リリース成功。チームメンバーが「自分は次のPJの方が興味ある」と話題になり始めた。スポンサーは「祝勝会の準備よろしく」。

質問

PMの最優先タスクは?

選択肢

A) 祝勝会の準備 B) 即チーム解散 C) Lessons Learned 会議、ベネフィット実現計画、知識のOPA化、最終予算精算、契約終結、リソース解放、チーム称賛 D) 引継ぎ書類のみ作成

PMI流解説

正解は C。Closingフェーズの王道。

学習ポイント


ケース全体の振り返り

抽出されたPMI流原則

  1. プロジェクト憲章なしに開始しない
  2. データ(EVM)で議論する
  3. 協働で問題解決
  4. 倫理規範: 隠さない・誠実に報告
  5. 価値最大化のための選択肢比較
  6. 顧客価値(Validation)を仕様通り(Verification)より優先
  7. 知識・ナレッジは組織資産化
  8. チームをサーバント支援する

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