ケース3: 対人ジレンマ集(People領域強化)
People領域42%の試験対策のために、対人スキルが問われる短いシナリオを集中演習。各シナリオに PMI流の判断 と ありがちな誤答 を併記。
ジレンマ1: 隠された遅延報告
メンバーAから「タスク終わった」と報告。実際は60%しか終わっていないのに、上司に怒られたくないため嘘の報告をしていた。後にスポンサーへの報告が必要な段階で発覚。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 即解雇 | NG(過剰反応) |
| 強く叱責、再発防止策を強制 | NG(心理的安全性破壊) |
| 1on1で根本原因(怖れ・知識不足・期限プレッシャー)を聞き、報告文化を再構築。スポンサーには事実を即報告 | OK |
| 黙って自分でリカバリ | NG(隠蔽) |
学び: 心理的安全性 + 倫理(隠さず報告)+ 根本原因分析。
ジレンマ2: 派閥対立
5人チームのうち、新人2人と古参3人で意見対立が常態化。古参が新人を軽んじる発言が目立つ。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 新人を別チームに移す | NG(逃げ) |
| 古参を叱責 | NG(force) |
| チームビルディング、グランドルール再確認、Diversity & Inclusion を意識的に運用、ファシリテーションでフラットな対話の場を作る | OK |
| 放置 | NG |
学び: ファシリテーション、心理的安全性、I&D。
ジレンマ3: スポンサー暴走
スポンサーが「私が決めるから、PMは黙って実行してくれ」と言い、チームの意見を聞かず一方的にスコープ追加を要求。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 服従 | NG |
| スポンサーを更迭要求 | NG(過剰) |
| 1on1で関係構築、影響分析データで議論。CCBプロセスを尊重するよう導く。倫理・ベネフィットの観点で議論できる関係を築く | OK |
| ステアリングコミッティに直訴 | NG(最後の手段) |
学び: 上位者への対応も対話・データ・プロセス。
ジレンマ4: 過剰なベンダー
開発ベンダーが「エンドユーザーが満足するため」と称して、依頼していない機能を 善意で 追加。Gold Plating。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 機能を採用 | NG |
| ベンダー契約解除 | NG(過剰) |
| 追加機能を一旦保留。スコープ外であることを契約・憲章に基づき説明。価値があるならCCB経由で正式追加検討 | OK |
| 黙認 | NG |
学び: Gold Plating禁止、スコープ管理、CCBプロセス。
ジレンマ5: メンタルヘルス
メンバーが過労で体調不良、休職を申し出てきた。PMは「あと1ヶ月で本番、休まれると困る」と心の中では思う。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 「もう少し頑張れ」と引き止め | NG(倫理違反、Respect違反) |
| 即時休職を認め、リソース計画を立て直す | OK |
| 病院に行かせて様子見 | △ |
| まず本人の健康を最優先。即休職を認め、医療連携を支援、リソース計画を立て直す。他メンバーで分担+必要ならスコープ調整。スポンサーへ事実報告と協議 | 最良 |
学び: 倫理・人優先・対応計画・透明性。
ジレンマ6: 多様性配慮
オフショア(インド)チームと日本チームの間で、宗教的祝日の扱いで衝突。インド側はディーワーリー休暇を取りたいが、日本側のスケジュールでは中盤に当たり影響大。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| インド側に休暇辞退要求 | NG(多様性軽視) |
| 両拠点の祝日カレンダーを統合。プロジェクトスケジュールを文化的祝日を考慮して再計画。ピーク時期を避ける合意形成 | OK |
| 日本のみで進める | NG(協働放棄) |
| インド側を別PJに | NG |
学び: Diversity & Inclusion、バーチャルチーム、文化的配慮。
ジレンマ7: 信頼関係なきアジャイル
組織がアジャイル変革中。スポンサーが「スクラムで進めて」と命令したが、組織はまだ伝統的指揮命令型。チームは自己組織化に慣れていない。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 純粋なスクラムを強行 | NG(組織抵抗) |
| Predictiveに戻す | NG(指示違反) |
| ハイブリッドから始める。組織変革(Kotter / ADKAR)を並行実施。チームコーチングで自己組織化を段階的に育成。スポンサー教育と短期成果の見える化 | OK |
| スポンサー説得を諦める | NG |
学び: 組織変革、Hybrid、段階的アプローチ、教育。
ジレンマ8: 倫理ジレンマ — ベンダー接待
主要ベンダー候補から「今度の家族旅行、ご一緒しませんか」と高額の接待を持ちかけられた。決定権はあなたにある。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 受け入れて関係構築 | NG(倫理違反) |
| 黙って断る | △ |
| PMI倫理規範(Fairness, Honesty)に従い断る。会社のコンプライアンス部門に報告。選定プロセスは公正・客観基準で実行 | OK |
| 一度だけ受け入れ、選定は別の人に任せる | NG(責任転嫁) |
学び: PMI倫理、Fairness、Honesty。
ジレンマ9: ハイパフォーマーの傲慢
スター級エンジニアが、技術力は高いがチームメンバーを軽視・批判する。生産性は高いが、他メンバーの士気が下がっている。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 技術力優先で放置 | NG(チーム破壊) |
| 即解雇 | NG |
| 1on1でフィードバック、行動が他に与える影響を伝える。継続改善されない場合は配置転換も検討。チームの心理的安全性を最優先 | OK |
| 公開で叱責 | NG |
学び: チームの士気 > 個人の生産性、フィードバック、心理的安全性。
ジレンマ10: 政治的ステークホルダー
ステークホルダー X が、自分の部門の利害だけ主張し、プロジェクト全体に悪影響を与える。会議では強引で他の発言を遮る。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 会議から外す | NG(avoid) |
| 服従 | NG(force受容) |
| 1on1で本音を聞き、Win-Winの落とし所を探る。会議ではファシリテーション手法(Round Robin、Time Boxed)で全員発言を促す。スポンサーにも事実共有しガバナンス強化 | OK |
| メールでの議論に誘導 | △(部分的) |
学び: ステークホルダー対応、ファシリテーション、ガバナンス。
ジレンマ11: 圧力下の品質妥協
リリース直前にバグが発覚。修正には1週間必要、しかしスポンサーは「予定通りリリースしないと顧客契約違反」。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 隠してリリース | NG(倫理違反) |
| 即リリース延期 | △(選択肢の1つ) |
| 品質・契約・顧客価値・リスクを総合評価。代替案(部分リリース、機能フラグ、緊急パッチ計画、顧客への透明な説明)を出してスポンサーと協議。倫理優先で隠蔽は絶対しない | OK |
| 全機能オフでリリース | △ |
学び: 倫理(隠さない)、複数選択肢、ステークホルダー透明性。
ジレンマ12: 文化の壁
新しいPMOからの厳格な報告フォーマット要求が、チームの自律性とアジャイルを損なっている。
| 選択肢 | 判定 |
|---|---|
| 完全服従 | NG |
| PMOを無視 | NG |
| PMOと1on1、フォーマットの目的(ガバナンス・透明性)と現状の不適合を議論。アジャイル指標(Burnup, Velocity)を翻訳した報告で合意形成。中長期的にPMOの理解促進 | OK |
| メンバーに肩代わりさせる | NG |
学び: ガバナンス vs アジャイル、翻訳、組織変革。
振り返り
全12ジレンマで共通するPMI流の判断軸
- 逃げない・避けない — Confront / Engage
- 倫理優先 — Honesty, Fairness, Respect, Responsibility
- 対話と協働 — Collaborate
- データと事実 — 感情論より客観
- 心理的安全性とリスペクト — チームの土台
- 複数選択肢 — Yes/No でなくトレードオフ提示
- エスカレーションは最後の手段 — まず自分とチームで
- 長期の関係構築 — 短期の勝ちより信頼
自己診断
- 何問でPMI流の正解が選べたか: ____ / 12
- 苦手な状況パターン:
- スポンサーへの対応
- チーム内対立
- 倫理ジレンマ
- 多様性・文化
- 上下関係(パワーバランス)
- 品質と納期のトレードオフ