お断り: この演習は法的助言ではなく、「読み手に伝わる書き方」の練習である。条文の引用は練習のための要約で、実際の改定は法務部門・弁護士の確認を経ること。会社・人物・数字はすべて架空(設定)。
今日の文書 — 利用規約 / プライバシーポリシー
利用規約 / プライバシーポリシー — 利用規約は「サービスを使うときの約束事」(契約の中身)、プライバシーポリシーは「個人情報をどう扱うかの説明」。2つは別物で、混ぜると「規約に同意したから何でも使える」という読み方を生む。今日は後者の利用目的の章を扱う(利用規約本体は「扱わなかった範囲」に回した)。
この文書の勝負どころ: 利用者が読んで理解できる平易さか。 平易さとは短いことではなく、読み手が自分の件(なぜ通知が来たのか)を見つけて、止め方まで辿れること。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編 3-1-1)は、利用目的を「具体的に特定していない」例として「事業活動に用いるため」「マーケティング活動に用いるため」を挙げている(2026-10-26 に同委員会のページで確認)。Badの1文目は、この型にそのまま当てはまる。
シナリオ
あなたは株式会社ノヴァストア 販促システム部 MOpsチームマネージャーの宮田(Day004 以降に登場)。
2030年5月20日(月)。 次の経緯がある(数字はすべて設定)。
- 4/22(月): LINEで、ID連携済みの会員に新しいお知らせ「お気に入り商品の値下げ・再入荷」(以下③)を始めた。ID連携は約96,000人、そのうちお気に入りがある約41,000人が対象。5/20までにのべ118,000通を送った
- 4/22〜5/17の4週: CSへの「どうして分かるのか」系の問い合わせが38件(平常は月3件前後)。ID連携の解除が1,310件(平常の4週は約480件)
- 5/10(金): 会員の江口さん(ID連携 2029/11、年12回前後購入)に③が届く(21:14)。22:03 に CS へ「お気に入りに入れただけの商品がなぜLINEに来るのか。許可した覚えがない」。5/13(月)にCSの松本さん(Day009・026 に登場)が現行ポリシー第3条を案内して返信
- 5/14(火): 江口さんの2回目。「第3条を読んだが『サービスの向上』としか書いていない。同意した覚えがない。個人情報保護委員会に相談する」。松本さんが宮田へ転送
- 5/20(月): 宮田は高梨部長の了承を得て、③を 5/21 から一時停止(設定)。ポリシーの第3条を書き直し、6/3(月)に掲載する。法務部の谷口さん(新登場)の確認は 5/24(金)12:00 まで
5/20 の時点で分かっていること
| 事実 | 出所 |
|---|---|
| 現行第3条は「サービスの提供・向上、マーケティング活動、その他事業活動」。お気に入りもLINEも書いていない | 〔実測: 現行の文面〕 |
| ③が使うのは「お気に入りに入れた商品」とLINEのIDだけ。閲覧履歴は使っていない | 〔設定: 仕様書〕 |
| 2029/11 以降の連携画面(同意の画面)には、③の説明がない | 〔設定〕 |
| ③の4週の購入が2,140件、平均4,800円(約1,027万円) | 〔設定〕 |
| 江口さんと同種の問い合わせ38件のうち、「個人情報保護委員会に相談」と書いたのは4件 | 〔設定〕 |
あなたの課題: 6/3 に載せる新しい第3条を書く。読むのは江口さんのような会員(疑って読む)。同時に、高梨部長と谷口さんが 5/24 までに「③をどう再開するか」を決める。
読み手プロファイル
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が読むか | 江口さん(会員、40代、年12回前後購入)と、同じ問い合わせをした会員(38件)。6/3 の掲載後は全会員に開かれる。承認側は高梨部長(MOps上長)と法務部の谷口さん |
| 何を判断するために読むか | ③を今後受け取るか、LINE連携ごと解除するか、納得できなければ相談窓口に進むか |
| 何を知っているか | LINEに③が来たこと。現行の第3条が「サービスの向上」としか書いていないこと。自分は「許可していない」と思っていること |
| 何を知らないか | ③がいつ始まったか、お気に入りと閲覧履歴のどちらを使うか、他社に渡されているか、どう止めるか、データはいつ消えるか |
| 何を気にしているか | 勝手に見られていないか。「みなし同意」で済ませる気ではないか。書いていないことを後から出されないか |
| 読む時間と場面 | LINEの通知から開いたスマホで3分。読んで納得しなければ、文面を引用して問い合わせるか、解除する |
この読み手が変わると何が変わるか: 読み手が法務の谷口さんなら、表の「止め方」より先に、各目的の根拠(同意か契約か)と、利用目的の変更が元の範囲に収まるかを冒頭に置く。読み手が初めて会員になった人(Lv1型)なら、③の経緯(4/22 から止めるまで)は要らず、「何が届き、どう止めるか」だけで足りる。経緯と数字は疑っている人に向けたものである。
4段階で見る — 第3条(LINEのお知らせと利用目的)
以下は同じ文書の 「第3条(LINEのお知らせと利用目的)」 の部分を、4段階で書き分けたもの。差が出るのは条文の数ではなく、読み手が自分の件を見つけ、事実を確かめ、止められるかである。
タブで精読、「横に並べる」で差を一望できる(横並びは各段階の要点3行だけ)。
行数 8・11・13・18、字数 Bad206 → Good315 → Better337 → Best529字(空白を除く・実測)。単調増加でBestが最長。
「サービスの向上・マーケティング・事業活動」と抽象語だけ。
「通知なく変更」「利用をもって同意とみなす」が入っている。
江口さんの「お気に入りがなぜLINEに」に何も答えない。利用目的を6つに分け、取得する情報も第三者提供も書いた。
だが「お気に入り→LINEで値下げ通知」がどの目的か読み取れない。
止め方がなく、閲覧履歴を使っていないことも分からない。「4種類のお知らせ × 使う情報 × 止め方」の表にした。
「4月22日から」「連携画面に説明がなかった」を自分で書いた。
だが6/3以降どうするか、消し方、相談先がない。冒頭が「押していただくこと」。既定は届かない(opt-in)。
約41,000人・のべ118,000通を自分で書き、広告会社へ渡さないと言い切る。
消す手順(30日)、返事の期限(5営業日)、外の相談先まで決まっている。Vague terms only: marketing and other business activities.
"Without notice" and "deemed to have agreed" are in.
It does not answer why a favorite showed up on LINE.Six purposes, data collected and disclosure are listed.
But it is unclear which purpose covers favorites to LINE messages.
No way to stop, and no statement that browsing history is unused.A table of four messages x what we use x how to stop.
States 22 April and the missing connection-screen text itself.
Missing: what happens from 3 June, deletion, where to complain.Opens with "What we need from you"; off by default (opt-in).
States 41,000 people / 118,000 messages; no sharing with advertisers.
Deletion (30 days), reply time (5 days) and outside bodies are fixed.第3条(利用目的)
当社は、お客様の個人情報を、サービスの提供・向上、マーケティング活動、
その他当社の事業活動のために利用します。LINE連携により取得した情報および
お客様の利用状況に関する情報も、同様とします。
当社は、利用目的を、お客様に通知することなく変更できるものとします。
本サービスをご利用いただいた場合、お客様は本ポリシーに同意したものと
みなします。
ご不明な点は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。Section 3 (Purposes of Use)
We use your personal information for providing and improving our services,
marketing activities and other business activities of the Company. The same
applies to information obtained through LINE integration and information
about your use of the Service.
We may change the purposes of use without notifying you.
By using the Service, you are deemed to have agreed to this Policy.
If you have questions, please contact us through the inquiry form."marketing activities and other business activities" は英語圏でも "too vague" の例。"deemed to have agreed" は英文のプライバシーノーティスでは同意の根拠として弱く、GDPR型の読み手には "no consent" と読まれる。
第3条(利用目的)
当社は、取得した個人情報を、次の目的で利用します。
(1) 商品の発送、代金の請求、お問い合わせへの対応
(2) 会員向けサービスの提供(ポイント、お気に入り、LINE連携を含む)
(3) 新商品・セール・クーポン等のご案内(メール、LINE、アプリ通知)
(4) 利用状況の分析によるサービスの改善
(5) 不正利用の防止
(6) 法令に基づく対応
第4条(取得する情報)氏名、住所、電話番号、メールアドレス、LINEのID、購入履歴、お気に入り、閲覧履歴
第5条(第三者への提供)法令に基づく場合を除き、本人の同意なく第三者に提供しません。配信作業等は委託先に委託します。
第10条(お問い合わせ)お問い合わせフォームよりご連絡ください。Badから何が変わったか:
- ③事実と解釈の分離が動いた。目的が6つに分かれ、取得する情報の一覧と第三者提供の考え方が別の条文になった
- ②読み手適合が少し動いた。「みなし同意」と「通知なく変更」が消え、法律の型には合う
まだ足りないもの:
- 江口さんの件が(3)なのか(4)なのか分からない。 「お気に入り」は(2)にも第4条にも出るが、「お気に入りを使って値下げをLINEで知らせる」とはどこにも書いていない。閲覧履歴も第4条に並ぶので、使っていないことが読み取れない
- 止め方がない。 窓口はフォームだけで、「受け取らない」を選ぶ場所が書いてない
- 「いつから」「何人に」がない。読み手が4/22を知っているのに、書面は知らない顔をしている
Section 3 (Purposes of Use)
We use the personal information we collect for the following purposes:
(1) Shipping, billing and responding to inquiries
(2) Providing member services (including points, favorites and LINE integration)
(3) Notifying you of new products, sales and coupons (email, LINE, app notifications)
(4) Improving our services through analysis of usage
(5) Preventing fraud
(6) Complying with laws
Section 4 (Information We Collect) Name, address, phone number, email, LINE ID,
purchase history, favorites, browsing history
Section 5 (Disclosure to Third Parties) We do not disclose personal information
to third parties without consent, except as required by law. We outsource delivery.
Section 10 (Contact) Please use the inquiry form.型は整っているが、"favorites" と "notifying you" がどう結びつくか分からない。英文でも "Your choices" 節が無いと、選べることが読み取れない。
第3条 LINEで届くお知らせと、使う情報
LINEで届くお知らせは4種類です。何に何の情報を使うかを、下の表にまとめました。
お知らせ 使う情報 止め方
① 注文・発送 注文の内容、LINEのID 止められません(取引に必要)
② カートの商品 カートの商品、LINEのID 設定 → お知らせの種類
③ お気に入り商品の値下げ・再入荷 お気に入りの商品、LINEのID 設定 → お知らせの種類
④ セール・クーポン 購入履歴のカテゴリ、LINEのID 設定 → お知らせの種類
使わない情報: 閲覧履歴、LINEのトークの内容、LINEの友だちの情報。
③は4月22日から始めました。これまでの連携画面には、③の説明がありませんでした。
③は5月21日から止めています。
LINEとの連携をやめたいときは、設定 → LINE連携 → 解除。Goodから何が変わったか(★ここが学習の中心):
- ④次の行動が動いた。読み手プロファイルの「何を知らないか(どう止めるか)」に答えて、お知らせごとの止め方を同じ表の同じ行に置いた。江口さんは自分の件(③)の行を見れば、使う情報と止め方が分かる
- ③事実と解釈の分離が動いた。条文の並び(目的→情報→提供)をやめて、読み手の問い(何が来る→何を使う→止められる)の順にした。「使わない情報」を書いたので、閲覧履歴の疑いに答えられる
- ⑤想定反論が少し動いた。「いつから」「連携画面に説明がなかった」「止めた」という不都合な事実を自分で書いた。 Lv3の読み手は、書かれていない事実を見つけたとき、書面全体を疑う。先に言うほうが、後から指摘されるより損が小さい
まだ足りないもの: 6/3 以降の③をどうするか(読み手が何をするのか)がない。保存期間、他社への提供、データを消してほしいときの手順、相談先もない。読み手が「で、私は何をすればいいのか」を決められない。
Section 3 What we send you on LINE, and what we use to send it
We send four kinds of messages on LINE. The table shows what we use for each.
Message What we use How to stop it
1. Orders and shipping Order details, LINE ID You cannot (needed for your order)
2. Items in your cart Cart items, LINE ID Settings > Message types
3. Price drops / restocks Items you saved as favorites, Settings > Message types
on your favorites LINE ID
4. Sales and coupons Purchase categories, LINE ID Settings > Message types
We do not use: your browsing history, the content of your LINE chats, your LINE friends.
We started message 3 on 22 April. Our LINE connection screen did not mention it.
We paused message 3 on 21 May.
To disconnect LINE: Settings > LINE connection > Disconnect.見出しを "What we send you ... and what we use" の平叙文にした(英文ノーティスは節の見出しを読み手の問いで書く)。"We started ... did not mention it" と能動の "We" で認めている。日本語の「ありませんでした」より責任の主語が明確になる。
第3条 LINEで届くお知らせと、使う情報
【押していただくこと】6月3日から、③お気に入り商品のお知らせは、
「受け取る」を押した方にだけお送りします。押さなければ届きません。
お知らせ 使う情報 止め方
① 注文・発送 注文の内容、LINEのID 止められません(取引に必要)
② カートの商品 カートの商品、LINEのID 設定 → お知らせの種類
③ お気に入り商品の値下げ・再入荷 お気に入りの商品、LINEのID 初期は「受け取らない」。設定 → お知らせの種類
④ セール・クーポン 購入履歴のカテゴリ、LINEのID 設定 → お知らせの種類
使わない情報: 閲覧履歴、LINEのトークの内容、LINEの友だちの情報。
広告会社などには渡しません(配信を任せる委託先を除く)。
【お詫びと事実】③は4月22日から5月20日までに、約41,000人へのべ118,000通お送りしました。
これまでの連携画面に③の説明がなかったためで、5月21日から止めています。
【消してほしいとき】③の送信記録(13か月分)は、ご連絡いただければ30日以内に消します。
【ご相談】お問い合わせ →「LINEのお知らせ」。5営業日以内に返事します。
個人情報保護委員会(www.ppc.go.jp)や消費生活センターにも相談できます。Betterから何が変わったか:
- ①結論の位置・④次の行動が動いた。冒頭に「押していただくこと」を置き、既定を「届かない」にした。押さなければ送らないので、「同意したことにされる」という疑いに答えが出る
- ⑤想定反論が動いた。読み手が次に聞く3つに先に答えた。①「広告会社に渡しているのでは」→ 渡さない(委託先を除く)。②「もう送られたものは」→ 13か月分の送信記録を30日以内に消す。③「納得できなかったら」→ 返事の期限と、外の相談先
- ③事実と解釈の分離が動いた。「約41,000人」「のべ118,000通」を自分で書いた。数字を隠さない書面は、他の記述も疑われにくい
- 行数はBetterより増えたが、増えた行はすべて読み手の次の動きに対応している。承認側(高梨部長・谷口さん)が決める事項は、条文の外の付録メモに分けた(Best全文)
今回はBestまで作るべきか: Best必要。 読み手は疑っていて、退会・解除・相談という次の行動を持つ。Betterまでは「説明」で、Bestで初めて「どうするか」が決められる。ただし読み手が好意的な新規会員(Lv1型)なら、Betterの表と止め方で足りる。
分量(日本語版・スクリプトで実測): 行数 Bad8・Good11・Better13・Best18、字数(空白除く)Bad206・Good315・Better337・Best529。単調増加でBestが最長(逆転ではない)。Bestで初めて「押す・消す・相談」の3つの次の行動と先回りがそろう型(Day007・022・032と同じ)。
Section 3 What we send you on LINE, and what we use to send it
What we need from you: From 3 June, we will send message 3 (price drops and
restocks on your favorites) only if you tap "Receive". If you do nothing, you get nothing.
Message What we use How to stop it
1. Orders and shipping Order details, LINE ID You cannot (needed for your order)
2. Items in your cart Cart items, LINE ID Settings > Message types
3. Price drops / restocks Items you saved as favorites, Off by default. Settings > Message types
on your favorites LINE ID
4. Sales and coupons Purchase categories, LINE ID Settings > Message types
We do not use your browsing history, the content of your LINE chats or your LINE friends.
We do not give your data to advertisers. Companies that only deliver messages for us are the exception.
What went wrong: Between 22 April and 20 May we sent about 118,000 messages to
about 41,000 people. The connection screen did not describe message 3. We paused it on 21 May.
Deleting records: Ask us and we will delete the 13 months of send records within 30 days.
Questions: Contact > "LINE messages". We reply within 5 business days. You can also
contact the Personal Information Protection Commission (www.ppc.go.jp) or a consumer centre.英文の型は "What we need from you" で始まり、BLUF(結論先出し)になる。"What went wrong" は英文のインシデント通知で使う見出し。"Off by default / If you do nothing, you get nothing" は、英語圏では同意が能動的な操作であるべきという前提(GDPR型)に合う。
日英差分ノート
1. 「同意」の置き方:日本語は「利用をもって同意」が通るが、英語は能動的な操作でなければ弱い
日本語の規約・ポリシーでは「ご利用をもって同意したものとみなす」が広く使われる。英文では、"deemed to have agreed" は同意の根拠として弱いとみなされ、"tap Receive" のような能動的な操作(opt-in)が前提になる(GDPR 第4条(11)・前文32は記憶による。今回取得したのは第13条のみ)。Bestで「押さなければ届かない」を冒頭に置いたのは、日本語でも効くが、英語の読み手には書かないと信用されない。
2. 見出しの型:条番号か、読み手の問いか
日本語は「第3条(利用目的)」が定型で、見出しの語は法律の用語になる。英文ノーティスは "What we send you", "Your choices", "What went wrong" のように読み手の問いや行動で書くのが通例。Better以降は日本語版でも見出しを問いに寄せたが、条番号は残した(ポリシー内の参照と、法務の確認のため)。
3. 謝り方:「説明がありませんでした」と "We did not describe it"
日本語は主語を落として「説明がありませんでした」と書ける。英語は "We" を主語にして "did not mention it" と言い切るほうが誠実に読まれ、受動態("was not described")は責任を逃げていると見られやすい。一方、日本語の「お詫び」は、英語では "apologise" と書くか "What went wrong" で事実だけ書くかを選ぶ(法務の確認で変わる)。
4. 「良い」の基準のずれ:日本は特定、英語は透明性と根拠
日本の法律(個人情報保護法)の中心は利用目的の特定で、Bad の「マーケティング活動」が問題になる。GDPR 第13条は特定に加えて、根拠(同意か契約か)・保存期間・撤回の権利・当局への苦情の提供を求める。Best は日本の型を満たしたうえで、英語圏で読まれても弱くならないよう、保存(13か月)、撤回(設定で止める)、当局(個人情報保護委員会)を入れた。
頻出表現
| 日本語 | English | トーンの強さ |
|---|---|---|
| 利用目的 | purposes of use / purposes of processing | 中立(法律の用語。ノーティスでは "How we use your data" が読みやすい) |
| ご利用をもって同意したものとみなします | You are deemed to have agreed | 弱い・避ける(英語では同意の根拠にならないと読まれる) |
| 〜を受け取る(押した方にだけ送ります) | opt in / only if you tap "Receive" | 強い(読み手が主導権を持つ) |
| 〜は渡しません(委託先を除く) | We do not share … except service providers | 強い(例外を同じ文に書く) |
| 委託先 | service provider / processor | 中立 |
| 消します | We will delete | 強い(期限とセットで書く) |
| 説明がありませんでした | Our screen did not describe it | 中立(主語を "We" にすると誠実に読まれる) |
| 〜に相談できます | You can also contact … | 弱い(義務ではなく案内) |
差分5軸まとめ
| 軸 | Bad | Good | Better | Best |
|---|---|---|---|---|
| ① 結論の位置 | 目的が「事業活動」で結論がない | 目的6つ。江口さんの件がどれか分からない | 冒頭に「4種類のお知らせ」の表 | 冒頭に「押していただくこと」と既定(届かない) |
| ② 読み手適合 | 現行文面の追記。読み手を想定していない | 法律の型。誰でも同じ文面 | 読み手の問い(何が来る→何を使う→止める)の順 | 疑っている読み手の次の動き(押す・消す・相談)に沿う |
| ③ 事実と解釈の分離 | 「サービスの向上」で事実がない | 取得する情報を列挙。何に使うかは別 | 「4月22日から」「説明がなかった」「5月21日から止めた」 | 「約41,000人」「のべ118,000通」まで自分で書く |
| ④ 次の行動 | 「フォームから連絡」 | 「フォームから連絡」 | 止め方が表の同じ行 | 押す・消す・相談の3つに期限(30日、5営業日) |
| ⑤ 想定反論 | 無視(通知なく変更、みなし同意) | 「第三者に提供しない」のみ | 「閲覧履歴は使わない」 | 広告会社、送信済み記録、納得できないとき、に先回り |
Best版・全文
日本語版 全文を見る
付録(公開しない)承認者向けメモ — 高梨部長、法務部 谷口さんへ 2030年5月20日 宮田
決めてほしいこと: 6/3 に載せる第3条で、③お気に入り商品のお知らせをどう再開するか。5/24(金)12:00 までにお返事ください。なければ 17:00 に A案 で掲載の準備を進めます。
| 案 | 内容 | 4週の売上(導出) | 江口さんへの答え |
|---|---|---|---|
| A(推奨・既定) | 「受け取る」を押した人にだけ再開(初期は届かない) | 再同意率 35%〔仮定〕なら約359万円(現行の約1,027万円から約668万円減) | 「押さなければ届かない」と言える |
| B | 全員に再開し、止め方を目立たせる(opt-out) | 約1,027万円 | 「同意した覚えがない」に答えられない。法務の判断が要る |
| C | 再開しない | 0円(約1,027万円減) | 答えは出るが、②④も同じ作りか確認が必要 |
Aを推奨する理由: 38件の問い合わせと、ID連携の解除1,310件(平常480件、差830件)は、「知らされていない」への反応と読める〔解釈〕。Bは、江口さんが相談先に持ち込んだとき「通知なしに変更」「みなし同意」の2点を説明できない。
Aが間違っていたと分かる線: 再同意率が 10%未満(4週で〔仮定〕)なら、8月に再開の方法を見直す(再同意の画面の見せ方を先に直す。Bには戻さない)。
確認していないこと: 利用目的の変更が元の範囲に収まるか(個人情報保護法 第17条)と、通知・公表の方法(第21条)は谷口さんの判断。②④の連携画面に同じ欠けがないかは未確認(5/22 までに確認する)。
決まったら: 6/3(月)に掲載と再同意画面。松本さんは 5/24 までに江口さんへ個別に返信する。
公開文(第3条)
第3条 LINEで届くお知らせと、使う情報
【押していただくこと】6月3日から、③お気に入り商品のお知らせは、「受け取る」を押した方にだけお送りします。押さなければ届きません。①注文・発送のお知らせは、ご注文に必要なため、今までどおりお送りします。
| お知らせ | 使う情報 | 止め方 |
|---|---|---|
| ① 注文・発送 | 注文の内容、LINEのID | 止められません(取引に必要) |
| ② カートの商品 | カートの商品、LINEのID | 設定 → お知らせの種類 |
| ③ お気に入り商品の値下げ・再入荷 | お気に入りの商品、LINEのID | 初期は「受け取らない」。設定 → お知らせの種類 |
| ④ セール・クーポン | 購入履歴のカテゴリ、LINEのID | 設定 → お知らせの種類 |
使わない情報: 閲覧履歴、LINEのトークの内容、LINEの友だちの情報。広告会社などには渡しません(配信作業を任せる委託先を除きます)。
【お詫びと事実】③は4月22日から5月20日までに、約41,000人へのべ118,000通お送りしました。これまでの連携画面に③の説明がなかったためで、5月21日から止めています。
第4条 保存と削除
- お気に入りの情報は、お客様が削除するまで保存します。LINEのIDは、連携を解除してから30日以内に消します。
- 【消してほしいとき】③の送信記録(13か月分)は、ご連絡いただければ30日以内に消します。
第5条 ご相談
- お問い合わせ →「LINEのお知らせ」。5営業日以内に返事します。株式会社ノヴァストア 個人情報のご相談窓口
- 納得できないときは、個人情報保護委員会(www.ppc.go.jp)や、お住まいの消費生活センターにもご相談いただけます。
改定のお知らせ: 2030年6月3日改定。第3条を「利用目的」から「LINEで届くお知らせと、使う情報」に書き直しました(変更点は③の追加と、止め方の明記)。
English 全文を見る
Appendix (not published) — Note for approvers: Mr. Takanashi and Ms. Taniguchi (Legal) 20 May 2030 Miyata
Decision needed: how to restart message 3 (price drops and restocks on favorites) on 3 June. Please reply by 12:00 on Fri 24 May. If we hear nothing, we prepare Option A at 17:00.
| Option | What it means | Sales over 4 weeks (derived) | Answer to Ms. Eguchi |
|---|---|---|---|
| A (recommended, default) | Send only to people who tap "Receive" (off by default) | About 3.59M yen at a 35% opt-in rate [assumption]; about 6.68M yen below the current 10.27M | "If you do nothing, you get nothing" |
| B | Restart for everyone, with a prominent opt-out | About 10.27M yen | Cannot answer "I never agreed". Needs Legal's view |
| C | Do not restart | 0 yen (10.27M lost) | Answers her, but we must check messages 2 and 4 are built the same way |
Why A: 38 inquiries and 1,310 LINE disconnections (normal is about 480; difference 830) read as a reaction to "no one told us" [interpretation]. Under B, if Ms. Eguchi takes this to a consultation desk, we cannot explain "may change without notice" and "deemed agreement".
What would show A was wrong: an opt-in rate below 10% over 4 weeks [assumption] means we review how the opt-in screen is shown in August (we do not go back to B).
Not checked: whether the change stays within the original purposes (APPI Art. 17) and how it is notified or published (Art. 21) are Legal's call. Whether messages 2 and 4 have the same gap on the connection screen is unchecked (we check by 22 May).
After the decision: publish and show the opt-in screen on Mon 3 June. Ms. Matsumoto replies to Ms. Eguchi individually by 24 May.
Published text (Section 3)
Section 3 What we send you on LINE, and what we use to send it
What we need from you: From 3 June, we will send message 3 (price drops and restocks on your favorites) only if you tap "Receive". If you do nothing, you get nothing. Message 1 (orders and shipping) continues because your order needs it.
| Message | What we use | How to stop it |
|---|---|---|
| 1. Orders and shipping | Order details, LINE ID | You cannot (needed for your order) |
| 2. Items in your cart | Cart items, LINE ID | Settings > Message types |
| 3. Price drops / restocks on your favorites | Items you saved as favorites, LINE ID | Off by default. Settings > Message types |
| 4. Sales and coupons | Purchase categories, LINE ID | Settings > Message types |
We do not use your browsing history, the content of your LINE chats or your LINE friends. We do not give your data to advertisers. Companies that only deliver messages for us are the exception.
What went wrong: Between 22 April and 20 May we sent about 118,000 messages to about 41,000 people. Our connection screen did not describe message 3. We paused it on 21 May.
Section 4 Storage and deletion
- We keep your favorites until you delete them. We delete your LINE ID within 30 days after you disconnect LINE.
- Deleting records: Ask us and we will delete the 13 months of send records for message 3 within 30 days.
Section 5 Questions
- Contact > "LINE messages". We reply within 5 business days. NovaStore Co., Ltd., Personal Information Contact.
- If you are not satisfied, you can also contact the Personal Information Protection Commission (www.ppc.go.jp) or a consumer centre.
Revision notice: Revised 3 June 2030. Section 3 now explains the LINE messages and what we use (message 3 is added; how to stop each is stated).
完成の定義チェックリスト
この文書種別を提出する前に必ず確認する項目。「雑・妥協」を防ぐための外部基準。
今日の演習
Bad例の第3条のうち、1文目(「サービスの提供・向上、マーケティング活動、その他当社の事業活動のために利用します」)だけを書き直す。条件: ①「マーケティング」「事業活動」を使わない。②「何の情報を」「何のために」「どの手段で」の3つを1文に入れる(今日の題材なら、お気に入りの商品・値下げと再入荷の通知・LINE)。③止め方を1つ添える。
自分が使っているサービス(または自社のサービス)のプライバシーポリシーを1つ選び、利用目的の章を、疑っている会員向けに書き直す。 設定: 読み手は「許可した覚えがない」と2回書いてきた人。条件: ①通知(または配信)の種類ごとに、使う情報・使わない情報・止め方の表を作る。②不都合な事実を1つ以上、自分で書く(いつから、何人に、何が欠けていたか)。③冒頭に「読み手が押す・選ぶこと」と既定を置く。④承認者向けメモ(決めてほしいこと、3案、Aが間違っていた線)を別に書く。⑤英語版を書き、"deemed to have agreed" をどう言い換えたかを示す。
取り組む前のヒント
- 先に表の行(お知らせの種類)を全部書き出す。抜けている行は、書いていないのではなく、気づいていないことが多い。④の購入履歴の使い方も、表に書いて初めて確認が必要と分かる
- 「使わない情報」は、実際に仕様で使っていないことを確かめてから書く。確かめていないなら「確認中」と書く。嘘の「使わない」は、一番大きな不信になる
- 罠: 不都合な事実を書くと責任を認めることになる、と感じる。書かないで後から出ると、書面全体が疑われる。書くかどうかは法務の判断なので、メモに書き、決めてもらう
- 罠: 「分かりやすく」を短くすることと取り違える。江口さんの件が見つかり、止め方に辿れれば、行は増えてよい
- 罠: 利用規約と混ぜる。「規約に同意したから使える」と読める文は、プライバシーポリシーには置かない
実務での使いどころ
利用規約・プライバシーポリシーは、サービスの公開前に法務が確認し、機能を追加するたびに見直す文書である。今日のように、機能を先に出して、文面が後から追いつくと問い合わせが増える。前の工程は、PRDや要件定義書(IT-要求・設計)で「どの情報を何に使うか」を決めること。次の工程は、同意の画面(UI)と、CSの回答テンプレート(ナレッジベース記事、CS#6)。法務に回す文書は法務レビュー依頼書(法務#4)で、論点と急ぎ度を先に書く。
この回の設計メモ(迷った他案・扱わなかった範囲・出所)
迷った他案と採らなかった理由
- 利用規約(契約の中身)を主題にする案 — 定型約款の変更(民法548条の4)は面白いが、Lv3の学びは「疑っている読み手に不都合な事実を先に出す」ことで、ポリシーの利用目的のほうが事実(いつ、何人)が出しやすい。前提が変わり、規約の改定が主題なら、変更の周知と効力発生日が本体になる
- 読み手を個人情報保護委員会(規制当局)にする案 — カタログの主な読み手のひとつ。ただしLv3は「利害が対立する」で、委員会に出す文書は報告書の型になり、今日の「利用者が読んで理解できる平易さ」から外れる。会員を通して当局に届く設定にした(ルール5)
- opt-out(Bの止め方を目立たせる)を推奨する案 — 売上は約668万円多く残る。ただし江口さんの「許可した覚えがない」に答えられない。推奨はAにして、Bは法務が適法と判断した場合の選択肢として残した
- Bestで全データを消すと約束する案 — 約束を実装できるかが未確認。消すのは③の送信記録だけに絞った(設定)
- 英語版で GDPR の根拠6類型を並べる案 — 日本のサービスの国内会員向けで、根拠の並べ立ては読み手の問いに合わない。Bestは根拠を1つも名指しせず、同意(押す)と契約(①)の違いが読めるだけにした
扱わなかった範囲(黙って絞っていない)
- 利用規約の本体(契約の成立、免責、禁止事項、定型約款の変更ルール)。消費者契約法の不当条項(第8〜10条)も扱っていない
- Cookie・外部送信規律(電気通信事業法の外部送信規律)。③はアプリ内のLINE通知で、Webの外部送信ではない
- 第三者提供の同意(個人情報保護法 第27条)と、外国にある第三者への提供(第28条)、委託先の監督。委託先の所在地は未確認
- 要配慮個人情報、未成年の会員、ガイドライン全体の網羅
- 個別の返信文(江口さんへのメール)。ナレッジベース/FAQの回で扱う
世界の実物との比較(数えた)
GDPR第13条の12項目(13(1) の6つと 13(2) の6つ)に対し、Best全文が扱うのは、完全に5・一部3・扱わず4。
- 完全: 管理者の連絡先、受領者(広告会社に渡さない・委託先)、保存期間、同意の撤回(設定で止める)、当局への苦情
- 一部: 目的と根拠(目的はあるが同意か契約かの根拠は①と③の違いに留まる)、権利(消去は書いたが、開示・訂正・持ち運びは未記載)、提供が必須かどうか(①のみ)
- 扱わず: データ保護責任者、正当な利益、第三国への移転、プロファイリング
つまり、日本の型(利用目的の特定)は満たすが、GDPRの透明性の完全版とは約4割の距離がある。「十分」「網羅」とは書かない。
出所
- 登場する会社、人物、数字はすべて架空(設定)。新登場: 法務部・谷口さん、会員・江口さん。再登場: 松本さん(Day009・026)、高梨部長。曜日はPythonで確認(4/22月、5/10金、5/13月、5/14火、5/24金、6/3月)
- 〔導出〕1,027万円=2,140件×4,800円(10,272,000円)。A案359万円=1,027万円×35%。差668万円。解除の差830件=1,310−480
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/)を 2026-10-26 に取得して確認。ページは約195,000字で、読んだのは前半の約100,000字のみ。確認したのは3-1-1(利用目的の特定)の「具体的に特定していない事例」2つと、第21条の通知・公表の要点。第17条第2項(変更の範囲)と第21条第3項(変更後の通知・公表)は取得範囲に無く、記憶による
- GDPR 第13条: https://gdpr-info.eu/art-13-gdpr/ を 2026-10-26 に取得して確認(12項目)。第4条(11)・前文32・第7条(3)(同意の撤回は与えるのと同じくらい容易)は記憶による(未取得)
- e-Govの法令検索ページは本文が取れず、条文の原文は未確認
- 個人情報保護委員会が個別の苦情を受け付けるか(相談の範囲)は未確認。本文は「相談できます」とし、あっせんや調査を約束する書き方は避けた
- 分量(行数・字数)は、各コードブロックを作成後にスクリプトで数えた実測値
何が起きているか: